ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第519号
2019/01/21(Mon)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの気づき:「自立支援」再考〜立場が違うとちがうもんだ〜
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] ムロさんの本棚から:「看る力〜アガワ流介護入門〜」(阿川佐和子&大塚宣夫著:文春新書 定価780円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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■ ムロさんの気づき

===「自立支援」再考〜立場が違うとちがうもんだ〜===

 「自立支援」が大流行(はやり)です。自立支援型ケアマネジメントなんて言葉に触れると、「そこまで言わんならんのかい!?」と漫才風に突っ込みたくなります。
 私は「自立」は身体的なイメージが強いので、意思決定支援という意味で「自律」を付け加えて、研修では「自立(自律)支援」とあえて話しています。これがとってもウケがいいですね。

 さて今月12・13日、第14回となる日本福祉大学ケアマネジメント研究セミナーが開催。今回のテーマが「自立支援を考える」でした。2日目の全体会のコーディネーターをした私は3つの分科会報告をしてもらった後、ふと「アレッ?どうも支援者側と当事者側のとらえる自立支援が違うぞ」と思ったので、そこに切り込むことに・・・なぜ、そう考えたのか。

 初日は白澤政和先生の講義と高齢・障害・生活困窮・児童養護の現場で活躍する方々が自立支援について発表がありました。それと2日目の当事者のみなさんが話す自立支援がどうもズレている。
 支援側は「身体、生活、就学、就労、家計」支援+意思決定支援などの支援手法的アプローチから自立支援を定義し、当事者側は「社会的役割、自尊心、自己実現」ができること&めざすことが自立であり、そのために求める支援が「情報の提供、ノウハウの提供、ともに考える、理解する、提案する」であると私は受けとめました。

 また、3つの分科会(A:若年性認知症、B:障がい者、C:アルコール依存症)の当事者の方から「ADL、IADL」的な用語やそれができることが自立、支援してもらいたいことは「受容と傾聴」なんて話が1つも出なかったのも印象的でした。

 高齢分野でやたら言われる自立支援が「身体的改善」ばかりに集中してしまっている感があります。ならば身体的改善が困難な障がい者やアルコールなどと生涯向き合っていかなければいけない依存症者はどうなるのでしょう?
大切なのは、改善することだけでなく維持することで可能となる社会的役割や自己実現やIADL等をともに考え広げること。仮に低下しても、どのようなサポートがあれば(自助含む)可能となるのかを当事者とともに考えチャレンジすることが「自立支援」ではないかと・・・

 言い換えるなら「当事者がめざしたい自立(自律)した暮らし」をスタートラインにして、ケアチームがともに本人とともに超アナログにチャレンジするプロセスが大切なのではないでしょうか・・・

 映画「こんな夜更けにバナナかよ」(主演:大泉洋)では主人公:鹿野靖明さん(筋ジストロフィー症)のいろいろなやらかしが描かれますが、命途切れるまで英検合格をめざしてチャレンジしていた姿が印象的です・・・私はこの場面に「これだよ、やっぱり!」と。まさに自立支援のめざすあり方をみた思いでした。


■ 最新業界ニュース

1.介護人材確保対策に29億円 〜介護助手でモデル事業も〜 (厚生労働省)
           
 厚生労働省は19年度予算案で、福祉・介護人材確保対策に前年度予算比8億円増の18億円を計上した。介護職員と介護助手などの多様な人材とのチームケアのモデル事業を新規で実施する。消費税引き上げに伴う増収分で地域医療介護総合確保基金の介護分を549億円に増額する。従事者分は22億円増の82億円。社会・援護局は人材確保分として前年度予算比13億円増の29億円を計上した。介護福祉士の専門性に応じた機能分化と、介護人材のすそ野を広げる取り組みを引き続き推進。新規事業では、介護施設や居住系、グループホームなどの介護職員と介護助手などによるチームケアのモデル事業実施に6億円。都道府県、指定都市などを通じて募り、横展開を図る。30カ所での実施を見込んでいる。

2.「利益は全職員に」1億円還元〜処遇改善を自己努力で〜(新潟:社会福祉法人常陽会)
 
 新潟市の社会福祉法人常陽会(志田常弘理事長)は、2017年度の決算で経常利益(サービス活動収益)が3億円を達成したことにより、うち1億円分を在籍する580人の全職員に特別手当として支給した。処遇改善や人材対策を国に頼るだけでなく、現場の経営者が率先して進めていくことが必要だという。 

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「何に触れられたくないのか、最初はわからないので、話の入り口が一番むずかしいと感じています」
(T.Oさん 主任CM歴6年 ケアマネ歴17年 看護師 女性)

【ムロさんの助言】
 この質問は長野県S市でのチャレンジシートにあった悩みです。質問力がテーマの研修でした。質問ってけっこうこわいです。尋ね方ひとつで受け取り方の印象って異なります。警察だって職務質問かとりあえずの尋問レベルもあれば、犯人?逮捕となってからの取調室の訊問や詰問はかなりハードなものになります。みなさんの質問はそこまでいきませんが、利用者(家族)にとってはプライベートなことも含まれます。「質問の理由(目的)」を述べてからはじめます。アセスメント質問も一歩間違えば土足でプライベート領域に踏み込むようなものだからです。「小さなYesを積み重ねる」という手法があります。ここ数日の天気や好きなテレビ番組など「答えやすい質問」から始めてやりとりが盛り上がってから目的の質問に移るとよいでしょう!(^^)!。

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■ ムロさんの本棚から

「看る力〜アガワ流介護入門〜」(阿川佐和子&大塚宣夫著:文春新書 定価780円+税)

【ムロさんの書評】
 テレビのインタビュアーや作家で活躍の阿川さんは94歳で亡くなった父・弘之氏(作家)を介護し、いまは認知症の母を介護する実は超介護経験者。かたや大塚医師は6千人以上を病院・施設で看取ってきた。そんな2人の対談集。「赤ちゃん言葉は使わない」「バカにしない、怒らない、とがめない」「愛情だけではうまくいかない」「介護のプロのコツを知る」「定年後の夫は新入社員」「男は威張る、怒る、自慢する」「不老長寿より不良長寿が長生きのコツ」などなど。私が体験者の本を読む動機は、その経験知を知りたいこと。素人といえどこれほど情報が多い現代、その気になればかなりのノウハウが詰まっています。それと「これを読んだ読者がどのように受けとめるか」ということ。専門職視点の「ザ・介護とは」を深めるばかりでなく、一般の介護者&被介護者が抱く「介護観」を学ぶこともとても必要と思います。推薦の一冊です。

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★ 今週のおしらせ

◎中央法規:月刊ケアマネジャー1月号高室流自分の磨き方入門
└→「プレゼンの達人」(Vol.10)


◇ 編集後記

 今年が明け、どこのメディアも「平成最後の・・・」がお決まりフレーズです。これが6月以降は「新元号〇〇初の・・・」と続くのでしょうね。最後と最初って唯一無二ですから、強烈にこだわりたくなる気持ちもわかります。私は「今年生まれる子どもたちから20年後に、いつのお生まれですか?と質問されて元号で答えると、“あああぁ、昭和30年代のお生まれなんですかぁ”と妙に感心されることになりますよ」と話します。つまり私が40年前に明治生まれの人にやっていたことを今度はやられるという・・・(^_^;)。ちなみに西暦はキリストの生誕からの続き年でまったく区切りはありません。が、日本人は天皇の「元号」を使って10〜60年ごとに時代を整理(仕切り直し)してきました。これも神社に伝わる「みそぎ(禊)」「お祓い」「しめ縄・鳥居」という日本人の大いなる知恵(リターンマッチOK!という二ホン的習俗)のひとつと私は考えますが、いかがでしょうか?<(_ _)>
<ムロ>


個人: http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )





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