ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第515号
2018/08/30(Thu)
http://caretown.com/


▼今週の目次▼
[1] ムロさんの予知予見: 居住系ケアマネジメントへの警鐘 
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「開けられたパンドラの箱〜やまゆり園障害者殺傷事件〜」(月刊「創」編集部編:創出版 定価1,500円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記


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■ ムロさんの予知予見

===居住系ケアマネジメントへの警鐘===

 この時期になると2020年版の高齢ホーム特集への寄稿や監修などの依頼がグッと増えます。別冊や特集やムック本などなどです。
 そこで、私が今回初めて赤字を入れて修正を指示したのが「特別養護老人ホームは人気が高く待機待ちが多くプラチナペーパーです」という文言です。
 その理由は・・・特養に「空床」が出てきているという事実が目に見えて増えてきたからです。それは・・・

 10年ほど前の事。特養はなかなか入居できない、だから新規に作るべきだの声がある一方で、税金ひっ迫の折り民間に任せて新しい受け皿を模索するべきだという声に押され、「早めの住み替え!」の号令とともに全国にサービス付き高齢者向け住宅の建設ラッシュが始まりました。

 おかげで待機組といわれる人の多くは、いわゆる「居住系」と呼ばれるサ高住と住宅型有料老人ホームに吸収された感があります。今ではケアマネジャーたちも「在宅の限界」となった家族に居住系を推薦するという話さえ。そして居住系にも住所地特例が適用になったおかげで、はるか隣県から勧誘のチラシが都内の地域包括支援センターに送られてくるという話さえあるほどです。

 そこで居住系で問題視されているのがサービスの内容とその根拠となるケアプランです。すべてが介護保険制度の悪用?とまではいいませんが、支給限度基準額の上限を前提とした「ケアプラン」の存在です。在宅のときはせいぜい6〜7割の利用でやれていたのに居住系に引っ越すと満額利用に。さらにケアプランはワンパターン。利用するサービスの多くは建物内のデイサービスか訪問介護ばかり。

 同一建物内減算が決まっても「それでも外のサービスを使われるよりマシ」という確信犯のサ高住も現れています。実はこの居住系の乱立が市町村の介護財源にボディーブローのように悪影響が出てきて、監査対象とする市町村も出てきています。

 居住系施設の経営者と利用者を担当するケアマネジャー(内マネ、外マネ)および居宅介護支援事業所の「姿勢」が問われています。


■ 最新業界ニュース

1.介護職へのハラスメント 厚労省 全国実態調査実施へ

 厚生労働省は、ヘルパーを始めとする介護サービス従事者に対する利用者や家族からのハラスメント(セクシャルハラスメントやパワーハラスメント)について、今年度中に全国規模の実態調査を行い、事業者への対応マニュアルを作成することを決めた。「利用者はお客様」が根付いた介護事業者の意識を変える一歩になるか。

2.「指導監督参考モデル」作成へ〜自治体格差是正へ〜(全国有料ホーム協)
 
 全国的に急増している有料老人ホーム。指導を行う自治体は持て余し気味で、運営まで目が届いていないのが実態だ。その一方で、事業者にとっては、実態に合わない厳しい規制もあることも指摘されている。こうした事態を改善するために、全国有料老人ホーム協会は、今年度、都道府県により差が出ている有料ホームの指導監督の実態を把握するとともに、これらを踏まえた「指導監督参考モデル」を作成する。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「どこの地域ケア個別会議の研修会でも、困難ケースから地域の課題を抽出する際の過程がいつも煙に巻かれてしまってよくわかりません。」
(K.Oさん 主任CM歴10年 地域包括歴3年 男性)

【ムロさんの助言】
 その悩みはよく聞きますね。地域ケア個別会議が個別課題(問題)の解決ばかりに話し合いが集中してしまっているようです。もちろんそれは重要でしっかりと方向性を出すことで次の一歩が見えることになります。しかし地域ケア個別会議の目的は「4つの機能(地域課題発見、ネットワーク構築、資源開発、政策形成づくり)」につなげることも大切と位置づけています。そこがなかなか発想を変えられないので現場で混乱が起こっています。たとえば、個別ケースの買物困難という問題の解決をその人への支援なら買物代行で十分かもしれませんが、多くの高齢者が困っているなら地域の課題として位置づけると、ミニスーパーの誘致、移動販売車の巡回、はたまた地元有志による週2回の朝市開催、という選択肢が生まれます。いかがでしょうか?(^-^)

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■ ムロさんの本棚から

「開けられたパンドラの箱〜やまゆり園障害者殺傷事件〜」
(月刊「創」編集部編:創出版 定価1,500円+税)

【ムロさんの書評】
 2016年7月26日未明、19人の重度心身障害者を「心失者」と決めつけ刺殺した植松聖被告。障害のある人や家族たちにはいまだ恐怖が消えない事件です。日本中を震撼させたのは死亡者の多さだけでなく、その植松被告がその施設の元職員であったこと。本書は植松被告との書簡や面会のやりとりの全文(障害者への社会的に許容できない考えも多く半分以上は掲載せず)と本人が獄中で書いた漫画やイラスト、さらに精神科医たちの対談などが掲載されています。
本書から彼が抱くヒトラーに通ずる優生思想への傾倒やサイコパス的発想の内容、自己愛性パーソナリティー障害の症状などを、制限はあるものの一定つぶさに知ることができます。本書から私の見立ては彼の心に潜む「ヒーロー信仰と幼稚性」がこの事件を読み解くキーワードではないかと思った次第です。この本に恐れを持つ人もいるでしょうが、多様な立場の人の発言も掲載され、事件の全体像をとらえ、風化させない啓発の書として推薦します。

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 ≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
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★ 今週のおしらせ
 
 ◎中央法規:月刊ケアマネジャー9月号高室流自分の磨き方入門
 └→「語彙力」(Vol.6)



◇ 編集後記

 昨年からスポーツ界のパワハラが大問題となっています。選手たちにとってはとても声を上げづらいことなのに勇気を振り絞っての行動に心から賛同します。私も小中学校と剣道をやってきて高校になっても入部しました。が数か月で退部。理由はいくつかありますが、根性?ひと筋の練習方法に違和感があったからです。スポーツには強くなりたい派、うまくなりたい派、楽しみたい派の3つがあります。大学でいうなら部活とサークルの違いでしょうか。根拠を示さずにとにかく非科学的とも思える練習をさせるのには辟易としました。当時はそれが当たり前だったのですね、いずこも。しかしおかげで身体を痛めスポーツができない身体になってしまった友人たちを何人も知っています。スポーツ界に潜む、行き過ぎた根性主義と精神論をコーチングやポジティブマインドなどが矯正してくれることを願うばかりです。(^^)! <ムロ>


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編集及び発行責任者:S.Takamuro
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