ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第511号
2018/06/08(Fri)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの警鐘:「ケアプランの利用者負担〜本質はどこにあるか〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「発達障害に気づかない大人たち(職場編)」(星野仁彦著:祥伝社新書 定価780円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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│テーマ│「漂流する家族と家族介護の葛藤〜今、そこにある危機〜」
│日 時│7月28日(土)13:00〜17:30(受講料6000円:メルマガ会員5000円:スクール会員4500円) 
│申し込み│WEBにて→http://caretown.com/honne/honne3007.shtml

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■ ムロさんの警鐘

===「ケアマネジメントの利用者負担〜本質はどこにあるか〜」===

 日本の介護保険制度がスタートして来年で20周年となります。
 これまで自己負担がゼロだったケアマネジメント費用(居宅介護支援)について、いよいよ自己負担を強いる力が強くなってきました。

 日本では介護保険を税方式でなく社会保険方式としました。そして介護保険サービスを利用した場合、1割を自己負担することになりました。それが利用者の所得に応じて「2割もアリ」になり、この8月から「3割もアリ」になりました。そのなかでのケアマネジメント費用のみが「無料」というのはかなり目立ちます。

 強力にプッシュしているのは今回も財務省。実はこれまでも介護給付費分科会でこの手の話は幾度も持ち上がっていました。しかし他の介護報酬の攻防の話し合いでいつも時間切れでした。
 しかし今回の分科会でもふたたび俎上にあがり、はっきりと推進派と反対派にわかれました。それぞれの主張を整理すると・・・

 推進派は、もともと応益負担なのだから自己負担の導入はやむを得ない、有料にすると利用者がケアプランの内容に関心を高め自立支援型のケアマネジメントが推進される、ケアマネへの評価が働き質を競い合い質の向上が図れる、施設や小規模多機能型の介護報酬にケアマネジメント費用は含まれているので在宅でも同じにすべき、などです。

 現場に近い反対派は、ケアマネジメントは介護保険の根幹であり自己負担導入は制度の基本を揺るがしかねない、費用負担をタテに「言いなりプラン」が増える、低所得者に過度な負担を強いることになる、セルフケアプランやケアプラン代行業者が現われサービスを過度に利用し費用が増大する、など
 
 もともとは財源論から始まったこの話。居宅介護支援費(13,800円)を1割負担すると440億円?の削減になるという数字に踊らされ、そのための後付けの理屈?を推進派が述べ、反対派が論を立てるという・・・
 この議論はほぼ10年近くやっているような印象があります。ここで奇妙なのは、厚労省やとくに反対を述べている日本介護支援専門員協会が「実証実験」なるものをなぜやらないのか・・・実験というのが大げさなら「利用者自己負担にかかる国民(現場?)意識調査」などを行いエビデンスを示す時期に来ているのではないでしょうか。反対署名運動はエビデンスにはなりえませんので(念のため)

 財源論で反対するなら、自己負担によってどれほどの介護サービス費用が「過度に増加」するのかを数字で示すことです。セルフケアプランを否定的?例に上げるのでなく、そのことによる利用者(家族)や地域包括支援センターや介護保険課の事務負担の増大を具体的に示すことが求められているのではないでしょうか?(ちなみに給付にかかる事務作業をAIにさせれば得意中の分野だったり)。

 さらに研究者がこの手の論文(意見はあります)としてまとめたものがないこと(あれば教えていただきたい)に違和感を覚えます。ケアマネジメント論や社会保障論の観点から「利用者負担」について堂々と論陣を張れる研究者がいないことの違和感。介護給付費分科会などでの感想や意見は出尽くした感があります・・・もう。

 なにより利用者(家族)不在で議論がずーと続いているのはなぜでしょう。あえて避けずに公の場で議論することで第1・2被保険者(利用者予備軍)の意識の中に「自立(自律)支援」の意識が育つのではないのでしょうか。
(※その意味ではNHKスペシャルなどでやっていただくといいのでは?)


■ 最新業界ニュース

1.特養ホーム、入居率低下〜理由の最多は「他施設との競合」〜
           
 特別養護老人ホームの入居率が、過去1年で減少傾向にあることが福祉医療機構の調査で分かった。施設が考える原因として最も多かったのは、「他施設との競合」だ。医療ケアの必要な人に受け入れ体制がとれないことや、入居条件が引き上げられ要介護2以下の人が原則入居できなくなったことも影響している。約半数の施設は待機者も減少していると回答しており、今後は、ますます経営手腕が問われる時代になりそうだ。

2.キャリア段位の試験官をアセッサーとして実習先に派遣(シルバー振興会) 

 介護技能実習制度に不可欠なのは、技能の習熟度をチェックする技能評価試験だ。介護分野では、実施団体になったシルバーサービス振興会が準備を進めている。試験は、試験官が実習生が働く事業所や施設に赴いて行う「出張方式」。試験官は同会が運営している介護プロフェッショナルキャリア段位取得者で、職員の評価を行うアセッサーの有資格者を担ってもらう考えだ。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

 「講師を頼まれることが増えました。でも流れに乗ってうまく話せません。緊張すると“噛む”ことがあります。考え過ぎると早口になってしまいます。うまく話そうとすると言葉を加えすぎて長くなってしまいます。」
(N.Tさん 世田谷区 主任ケアマネ歴5年 ケアマネ歴11年)

【ムロさんの助言】
 10年選手となると講師を頼まれることが多くなると聞きます。「正しく伝えたい」と思うことは大切ですが、「なにもかも話す」ことではありません。それでは受講者は「考える余地」がなくなります。それは一方的な詰め込みでしかありません。教えることは7割、グループで話し合うことを3割くらいにするといいでしょう。早口になっている人は聞き手の顔が見えていません。あがる人は自分ことでいっぱいいっぱいです。そんな時は、わざとかなりゆっくりと話すようにしましょう。それでも緊張が解けないなら「〇〇のことについて隣の人と話し合ってみましょう」と受講者に問いかけて、話し合っている時間に気持ちを落ち着けましょう。これもテクニックの1つです。

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■ ムロさんの本棚から
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「発達障害に気づかない大人たち(職場編)」(星野仁彦著:祥伝社新書 定価780円+税)

【ムロさんの書評】
 いま「発達障害」が大ブレーク中です。新宿紀伊国屋書店では特別コーナーがあるほどです。「ちょっと変わった子」と思われていた発達障害の人たち。学校に行っているうちは親のサポートでなんとかやれていても、いざ社会人となって自らの特別さに気づくことになります。「いつも何かを探している、打ち合わせの時間に大遅刻する、一方的にまくしたてる、夜中まで些細な仕事に没頭している、茶碗を洗っといてと頼んだらコップは洗わなかった」などなど。これは星野医師が進める発達障害の発見チェック法です。いま障がい者雇用枠でも注目の発達障害ですが、だれもが働けるわけではなく、職場の支援レベルが大きく影響します。星野医師は「他人とは違うからこそできること」があり、「発達障害に向く仕事・向かない仕事」を解説。ひきこもりやニートの子どもたちとのかかわり方にヒントを与えてくれる一冊です。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

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※隔月で旬なテーマを取り上げ実践的に学べるスキルアップの場です。
│テーマ│「漂流する家族と家族介護の葛藤〜今、そこにある危機〜」
│日 時│7月28日(土)13:30〜17:30(受講料6000円:メルマガ会員5000円:スクール会員4500円) 
│申し込み│WEBにて→http://caretown.com/honne/honne3007.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載:高室流働き方改革〜どっちも大切!〜」(第506話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/33312

◎中央法規:月刊ケアマネジャー6月号高室流自分の磨き方入門
└→「自己覚知力」(Vol.3)


◇ 編集後記
 前回に引き続き日大アメフト部のこと。話はアメフト部だけの問題ではなく、日大全体の組織の問題となってきました。それは理事長をはじめ体育会系の人脈が日大全体を取り仕切っている(支配している)ことがあぶりだされてきたからです。まさに諸悪の根源はどこにあるのか。突然の配置換えなど常日頃からくすぶっていた教職員の不満もここにきて爆発。組合も立ち上がりました。アメフト部の保護者会も親の立場で反論しています。そして内田監督の裏金づくりも表に出てきました。立場を利用して私腹を肥やす・・・かつての保守党議員の専売特許でしたが、まさに日大では連綿と続いてきたようです。危機管理学部という最先端の学部のスタートなのに、よりによって大きくつまづく始末には開いた口がふさがりません。まだまだ序章のような様相となってきました。<ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )





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