ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第506号
2018/04/05(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの熟考:「家族丸ごと支援〜ケアマネジメントの新たな支援領域〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] ムロさんの本棚:「ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた」(高橋源一郎著:集英社新書刊 定価860円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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■ ムロさんの熟考

===「家族丸ごと支援〜ケアマネジメントの新たな支援領域〜」===

 3月末の2日間は日本福祉大学のケアマネジメント研究セミナーでした。今回で第13回。故野中猛先生とケアマネジメント技術研究会が始めたセミナーで私も第6回くらいからかかわっています。毎年、半歩先のテーマを取り上げるこのセミナー。今回は「家族丸ごと支援」となりました。

 このテーマになった背景に1年前から厚労省の文言に登場するようになった「地域共生社会と地域丸ごと支援」のフレーズがあります。10年ほど前から、これからは高齢者支援だけでなく、障がい(児)者支援と生活困窮者支援が連携を取るべきという声は専門職のなかでも語られることが増えていました。それは支援困難ケースといわれる事例には、これらが複雑に絡み合っているという現実があるからです。

 しかし、なぜこれから「家族丸ごと支援」が大切なのか・・・

 それは介護保険が「利用者本位」が中心であるため、家族支援が置いてきぼりをくうことになってしまったのではないかという問題意識です。たしかに「介護の社会化」という大命題は大きなインパクトでした。20年前は「介護は嫁がやるもの・妻がやるもの」という常識?が今では「介護サービスは利用するもの」という常識に大きく変わりました。

 しかし介護離職という厳しい現実は減っていません。むしろ深刻化しています。そして夫介護や息子介護が当たり前に受け入れられる一方で虐待や介護心中は深刻化しています。
 これはどうしたことでしょう・・・

 たしかに家族介護は介護サービスを利用することで「軽減」はされましたが、利用していない曜日や時間帯(早朝〜夜間〜深夜)は家族(同居、近隣、遠距離)に委ねられている実態は変わらなくあります。
 プロが提供する介護と素人が自己流で行う介護が共存しているのです。

 よく「家族のように〜」というフレーズが語られますが、家族だから「案外と冷たくしても平気だ」し「家族だから相手に本音を吐く」し「家族だからやりたくない」という複雑な感情が湧くし・・・介護・看護の専門職といえど「仕事のようにできない」と悩む声はとても耳にします。

 家族はつねに2つのジレンマ(葛藤)に晒されています。
 それは「非選択性」(選べない)と「非解消性」(辞められない)です。
 ここに介護や看護という待ったなしの状況に当事者が追い込まれたとき、積もり積もった感情が大きなクライシスを生むことになります。家庭内の暴言や暴力は「しつけ」という言葉に変容される危険をつねにはらんでいます。

 家族丸ごと支援・・・この現実から目をそむけず・逃げず・向き合うこと。これからのケアマネジメントの新しい支援領域ではないでしょうか。


■ 最新業界ニュース

1.生活援助中心プラン 届出は「月27回以上」〜毎日1回利用でも該当〜 

 生活援助が通常より多いケアプランを作成したケアマネジャーに対し、市町村への届出を義務付ける運営基準の改正が10月から始まる。厚生労働省は3月19日、届け出なければならない1カ月当たりの生活援助利用回数の基準案を示した。最も少ない要介護1でも月27回以上。毎日1回利用しても該当する水準だ。基準案はパブリックコメントを受けた後、正式に告示される。

2.第7期の介護保険料は平均412円のアップ〜岡山市は据え置き〜 

 全国に20ある政令市の第7期介護保険料が出そろった(条例案段階含む)。基準月額の平均は月6133円で、第6期から平均412円上昇する。岡山市以外はすべて引き上げだ。全国平均の保険料は政令市平均より若干低めの6千円前後となりそうだ。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

 「自分が結婚や出産をしたら自分の仕事でやりたいことができなくなるか、不安です。女性が多い職場なので余計に言い出しづらいような雰囲気があります。ワークライフバランスだと思うのですが、見通しが立ちません」
(M.Sさん 女性 愛知県蒲郡市 障がい施設 管理者)

【ムロさんの助言】
 福祉の現場に男性が増えましたがまだまだ女性が多い職場です。若手の男性が結婚を機に「寿退社」する現状もあります。とかく「仕事か家庭か」のように対立軸で考えるのは昭和の発想です。平成発想(2年後は変わっていますが(^_^;))では「両立」すること。つまり「どちらか」ではなく「どちらも」という視点から考えることです。私は福祉の現場が奉仕の精神?のような自己犠牲的な姿勢を尊重する雰囲気に違和感を抱きます。むしろ「働く人を大切にする職場」になることが定着率を上げることになると思います。給料アップに異論はありませんが、職員の生き方を応援することをもっと前面に出すべきだと思います。子育て支援も合同ピクニック、お食事会、朗読会など「子どものお楽しみ」を職員みんなでちょっとがんばってみる・・・そのようなことが「職員のふくし」を「つくる・まもる・そだてる」ことになると私は考えます。

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■ ムロさんの本棚から

「ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた」
(高橋源一郎著:集英社新書刊 定価860円+税)

【ムロさんの書評】
 新書なのに読み始めると小説風・・・いやいや小説そのもの。架空の小学校に通うことになった主人公:ランちゃんとその仲間がはじめる「くにづくり」。知性と個性あふれる不思議いっぱいのおとなたちとパパ・ママの言葉に素直に疑問を抱くランちゃん。語られる言葉は少年風だが取り上げるテーマは憲法改正、竹島問題、象徴天皇制、独立、戦争など。かつて18世紀以前にルソーなどが得意とした「小説的社会批評」の手法とのこと。「国とくにの違い」「憲法と宣言と建国のことば」などなど・・・私が50年間抱いてきたジレンマや疑問に答えてくれる本書は実に深いです。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
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⇒ケアマネの学校「新シリーズ!テーマ別セミナースタート」(定員15名限定)
│日 時│7月(予定)毎月第4土曜日13:00〜17:30(受講料5000円:会員4500円) 
│詳 細│WEBにて→4月下旬公開予定!!!


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載:高室流働き方改革〜どっちも大切!〜」(第506話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/33312

◎中央法規:月刊ケアマネジャー4月号高室流自分の磨き方入門
└→「自分育て」(Vol.1)


◇ 編集後記

 新年度が始まりました。年度末は第7期介護保険報酬改訂もあり、みなさんも大忙しだったのではないでしょうか?今回でもう7回となるのですね。かつて「走りながら考えるのが介護保険」という不思議なフレーズがありました。期待大でスタートしたものの始めてみると「こんなに大変なのか!?」という痛感を未来志向にさせる見事な効果があったかな、と(^_^;)。しかし20年経過しこのフレーズも聞くことも稀になりました。20年を経過し、「地域包括ケアシステム」という仕組みの仕上げになる10年になるのでしょうか。ケアタウン総合研究所も20年目に向けてあらたな展開を考えています(^-^) <ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )





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