ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第504号
2018/03/01(Thu)
http://caretown.com/
▼今週の目次▼
[1] ムロさんの深読み:「誰にとって都合がよいのか〜裁量労働制というブラックワーク〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] ムロさんの本棚:鼻めがねという暴力〜どうすれば認知症の人への虐待を止められるか〜」(林田俊弘著:harunosora刊 定価1,800円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記
↓↓↓ 東京スクールのお知らせ ↓↓↓
⇒ケアマネジメントの学校(11)「地域包括ケアにおける実践的施設ケアマネジメント〜特養・老健・療養型・有料老人ホーム(住宅型含む)・サ高住〜」
(定員15名限定 残席8名)
│日 時│3月18日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage3003.shtml
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■ ムロさんの深読み
===「誰にとって都合がよいのか〜裁量労働制というブラックワーク〜」===
私は月刊ケアマネジャーで「高室流働き方改革〜ワークとライフのバランスづくり〜」を1年間連載してきました。この連載の意図はABE首相が唱える働き方改革とは異なり、もっとワークとライフのバランスを上手にとるとどちらも充実できますよ、という主旨の連載でした。
「働き方改革」・・・ネーミングはなかなかにグッドです。異を唱える人はいないくらいいい印象です。と、と、ところが「裁量労働制導入」を読んで、なんじゃこりゃ!と面喰いました。「自分の裁量で仕事ができる」という建前ですが、裏コンセプトは「仕事を時間量でなく効率性でみるかんね」というもの。つまり仕事を依頼されたら個人の裁量で10時間かけてもいいし、4時間で終えてもいい。終わったら次の仕事をするか、さっさと帰宅してもいいよ。ただし自由裁量だから残業代というのはなくなるからね・・・現実はさらに不都合。
なにより与えられる仕事の量は自分でなく上司が決めるという点。そして「どれほどの時間がかかるか」は何を基準に決めるのかが曖昧・・・仕事が丁寧な人か、テキパキな人か、新人かベテランか。裁量の基準がまったくもって不可解ということ。
そして、6時間と裁量されたけど、やってみるとどうやっても12時間はかかることだってあります。求められた結果ができないと評価は下がる、終わらないと次から別の担当に回され仕事がこなくなる(退職勧奨?)という最悪の事態が想定されます。
これって、なかなか結果がでないデキ?の悪い人、会社に貢献しない人、能力が劣ってきた人(50代以上?)を体よく社外に放り出す理由に使われてしまうのではないか、と危惧します。
そして注視したいのは、この手の「平均労働時間」の算出が得意なのはAIです。AIが「必要とされる仕事時間」を裁量し社員に仕事を指定するということになったらどうなるか。するとAIが勤務評定をつけるでしょう。
やがてディープラーニングしたAIが「これくらいなら〇〇のAIにやらせたほうが効率的だね」と他のAIに仕事を発注するということも起こるでしょう。
日本の会社の伝統は「家族主義」です。社員を辞めさせないために「仕事を作ってきた」という数多の歴史があります。すると思わぬ活躍や能力を見せる社員がいて業績がV字回復!というドラマチックもあったことでしょう。まさにこれが「ザ・日本株式会社」の強みだったのです。
しかし裁量労働制は「仕事に人をつける」という逆発想です。その仕事が人間では無理っぽくなってきたらAIでいいやとなりかねないか。なにしろ疲れないし文句も言わないから経営側からは重宝ものです。・・・しかしそのような判断をした経営者がAIから×をもらうことになる日もくるかもしれません。
厚労省のデータの件で国会が紛糾しています。確かにそれは追及されるべきお粗末さです。しかし、裁量労働制が持つ「真のこわさ」をシミュレーションしたとき、私たちが拒否すべき矛先は変わってくるでしょう。
あなたの働き方改革を誰に委ねますか?
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■ 最新業界ニュース
1.生活援助ヘルパー研修「59時間」〜簡単な身体介護も学習〜(厚労省)
厚生労働省は来年度からの報酬改定で創設する生活援助中心型のサービスのみを担うことができるヘルパーの養成研修の科目、時間数を決めた。時間は59時間で130時間の初任者研修の約半分となる。仕事内容は、掃除や洗濯などの家事のみ。とはいえ、万が一の時の対応ができるよう簡単な身体介助の方法について学んでもらう。
2.全世代型社会保障目指す 高齢社会対策
政府は16日、基本的・総合的な高齢社会対策の指針となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。「65歳以上を一律に高齢者と見る傾向が現実的なものではなくなりつつある」ことを踏まえ、年齢や性別にかかわらず個人の意欲や能力に応じたエイジレス社会の構築を進めながら、誰もが安心できる「全世代型の社会保障」への転換を見据えると打ち出した。
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最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」
「プランを立てるとき、目標がぼんやりして立てにくい。悪くなりたくない、今の生活のままでいい、という希望が多い。具体的な目標の設定がしにくい」
(H.Hさん 女性 小浜市包括 主任ケアマネ)
【ムロさんの助言】
ご本人の意向を尋ねても「今のままでいい、悪くなりたくない」と返ってくるのでハタと困ってしまうH.Hさん。私たちの日常会話は案外とザックリしたものです。だからこそ、「これまで」の暮らしを聞き取ることがポイントです。悪くなりたくないなら、いま、どのあたりがつらいのか、どのあたりの家事に手間取っているのか、を聞き取りましょう。そして先々どのようなことが悪くなりそうと思っているのか、もヒントです。あとはそれを3か月後どうなっていたいか、6か月後どうなっていたいか、の目安を立てて質問をしてみましょう。歩くことなら「どこまで、どの距離、週何回?」を地名や建物名、数字で表記するだけでぐっと具体的になりますよ。試みてみましょう(^-^)
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■ ムロさんの本棚から
「鼻めがねという暴力〜どうすれば認知症の人への虐待を止められるか〜」(林田俊弘著:harunosora刊 定価1,800円+税)
【ムロさんの書評】
いきなりすごいタイトルです。本書は認知症ケアの現場で起こっている虐待を現場視点から描いたものです。著者はパーティーグッズの鼻めがねを認知症の人にかけさせ「かわいい〜」「似合う〜」と手を叩きおもしろがる風土さえ虐待へとつながる道ではないかと警鐘を鳴らします。スピーチロック、ドラッグロック、フィジカルロック(身体拘束)という不適切な対応がさらに深刻化しているとも。それは人手不足、教育不足、そして本来なら採用しないような人を採用せざるを得ない現実があると・・・命令口調・友達口調、舌打ち・ため息、あざけり・からかいなど「虐待の芽」はすぐそこにあると示します。都内で4カ所の認知症GHを展開し、自ら体験と自施設での虐待の例を挙げている本書は相談援助職や現場職員にとってもリアルな一冊です。
(※とても読みやすい文章です!)
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★ 東京スクールのご案内
≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)
⇒ケアマネジメントの学校(11:最終講義)「地域包括ケアにおける実践的施設ケアマネジメント〜特養・老健・療養型・有料老人ホーム(住宅型含む)・サ高住〜」(定員15名限定 残席8名)
│日 時│3月18日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage3003.shtml
★ 今週のおしらせ
◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載:1月号〜働き方改革は「休み方改革」から〜」(第505話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/32313
◎中央法規:月刊ケアマネジャー3月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「仕事と人生〜単線人生と複線人生〜」(Vol.11)
◇ 編集後記
平昌オリンピックに沸いたこの1週間。圧巻なシーンはたくさんありましたが、だれもが目を奪われたのが羽生結弦の演技と金メダル。同日に将棋の世界では藤井5段(2週間で昇段!)に羽生名人が敗れることがあり、メディアでは「2つの羽生」が乱れ飛び、どっちがどっちかわからない事態に(^_^;)。驚いたのは冬のオリンピックの金メダル1000個目が羽生の金メダルだったこと。まるでマンガ!持っていますねぇ、彼は。それと私が一押しなのが小平菜緒です。オランダ武者修行でフォームを変えるくらいのチャレンジ精神には脱帽です。めざすものが高く、延長線上でのがんばりでは届かないなら、別のアプローチを試みる・・・すばらしいプロフェッショナルな心意気だと喝采を贈りたいと思いました!みなさんはどのような感想を持たれましたか?(^-^)
<ムロ>
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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )