ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第502号
2018/02/02(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの分析:「小室引退会見〜男性介護者の孤独と介護離職〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「仕事のミスが激減する手帳、メモ、ノート術」(鈴木真理子著:明日香出版社刊 定価1,400円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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⇒ケアマネジメントの学校(10)「グループホーム・小規模多機能の認知症ケアマネジメント〜認知症の人の「本人らしさ」と現場を支えるケアマネジメント〜」(定員15名限定)
│日 時│2月18日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage3002.shtml

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■ ムロさんの分析

===「小室引退会見〜男性介護者の孤独と介護離職〜」===

 1月19日、「週刊文春」で不倫疑惑が報じられた音楽プロデューサー・小室哲哉(59)さんが記者会見を開いた。そこで飛び出した意外な言葉・・・「私の罪(償い)として引退をしたいと思います」という言葉。この予想外の展開に会見ムードは一変し、記者たちの動揺は隠せませんでした。

 2011年10月に妻・KEIKOさん(45)がくも膜下出血で倒れました。そして高次脳機能障害となります。記憶力などが失われ、「大人の会話ができる女性」ではなく「少女のようになった彼女」とやりとりが始まりました。

 彼は2つのものを失います。アーティストとしてリスペクトできるKEIKOという存在と著作権騒動で失意となった彼を支えた妻・桂子さん(旧姓:山田、大分県臼杵市生まれ、2002年結婚)という存在です。

 会見では赤裸々に6年間の介護の日々を語りました。そのなかで仕事のプレシャーから難聴、耳鳴り、そしてC型肝炎・・・妻にも頼ることができず1人で闘病生活をおくったといいます。

 KEIKOさんが要介護認定を受けていたかは分かりません。会見からはスタッフと実家の家族のサポートでなんとかやってきたことはわかりました。医療のサポートはわずかながらあったようですがケアマネジャーやケアのプロの存在は不明です。もしかすると(多分)いなかったのかもしれません。

 私がこの会見で抱いた率直な感想は「小室哲哉という人の孤独」です。

 介護の苦労を誰にも相談できない男性介護者としての孤独だけでなく、アーティストとして納得のいく楽曲が作れなくなった才能への焦りと本音を誰にも打ち明けられない孤独。そのストレスを某看護師に打ち明けることでしかバランスがとれないようになってしまっていたのでしょう・・・
 しかし、それも今回暴露されてしまった。

 私が気になったのは「まだ1週間足らずの決断ですので、何までが許されて、何までが許されないのか正直、自分で判断ができてないんですね。お騒がせした、それを償うという図式しか今ないです」という切羽詰まった釈明です。
 そしてお騒がせしたことへの「僕なりの償い」というけじめとして引退を宣言しました。
 しかし本音は引退したくないのでしょう。それは「悔いなしなんて言葉はひと言もでてこない」という苦渋のつぶやきにあらわれています。

 小室さんは会見の最後に、「こういったことを発信することで、みなさんも含めて、日本をいい方向に少しでもみなさんが幸せになる方向に動いてくれたらいいなと心から思っております」と話しました。
 男性(夫)介護者が仕事と介護を両立していく大変さと喪失体験という当事者にしかわからない大きな葛藤を抱えながらの介護の現実を小室さんはいみじくも話しました。

 ここで考えていただきたいことは、KEIKOさんのように中途障がい者となった40代の人たちのニーズにこたえられるサービスやケアマネジメントになっているのか・・・むしろ真空地帯のようにポッカリと空いてしまっていないでしょうか。

 小室さんの決断は、いわば典型的な介護離職だと、私は思います。心配なのは「いまは介護に専念したい(比重を置きたい)」という前向きなニュアンスでなく、さまざまなトラブルを「引退」という強烈なメッセージ(贖罪、ちゃぶ台返し)で納めてしまうしかないと決意させた彼の「追いつめられ感」です。

 あなたがKEIKOさんの担当ケアマネジャーになったら、どのように支援しますか?介護離職を決めた家族介護者である夫・哲哉さんをどのように支えていきますか?


■ 最新業界ニュース

1.老健局 地域支援事業 4月から全市町村で 都道府県の支援要請

 厚生労働省は18日、全国厚生労働関係部局長会議を開催し、濱谷老健局長は(1)介護保険制度の見直し、(2)介護報酬改定、(3)認知症施策の推進、(4)平成30年度の予算について報告。地域支援事業は4月から全市町村で完全実施となる。介護人材確保対策では、中高年齢者への入門的研修や生活援助ヘルパーを養成する「生活援助従事者研修」費用の助成などにも言及した。

2.生活保護法改正へ〜後発医薬品を原則化、日常生活支援付き住居創設〜
 厚生労働省は22日から始まった第196通常国会に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の一体的見直しのための関連法案を提出する。生活保護では、国の負担金の半分を占める医療扶助費を適正化するため、後発医薬品の使用の原則化を規定する。無料低額宿泊所に最低基準を定めて規制・指導を強化するとともに、さらに良質なサービスの基準を満たす日常生活支援サービス付きの住居を創設し、貧困ビジネスの規制も強化する。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「悩みはわかりやすい文章が書けないこと。つながりがつかなくなり、自分で読に直して自信を失うだけです。漢字も出てこない。時間もかかります」
(O.Dさん 男性 埼玉県障がい者施設 指導員)

【ムロさんの助言】
 現場の悩みの1つが「文章力」。介護記録は、ケア実践の証拠品?であり、申し送りとしての役割があるのですが、アセスメントやモニタリングの内容は質の高いケアをめざすなら必要な記録です。また気になることを書くことでリスクの予測と対応を図ることができます。つまり「目的」を決めて、目的に合った「書き方のスタイル」を事業所や施設で決めることです。そうでないと人によってバラバラになり「わかりにくい文章」のオンパレードになります。記録の基本はメモした内容を箇条書き式に書くことからやってみるとよいでしょう。それと見本となるケアプランや記録の文章(本や雑誌)を「書き写す」のも練習となります。複数回書き写すことで「手が覚える」という実感も貴重です。

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■ ムロさんの本棚から

「仕事のミスが激減する手帳、メモ、ノート術」(鈴木真理子著:明日香出版社刊 定価1,400円+税)

【ムロさんの書評】
 スケジュール管理はケアマネジメントの基本中の基本。スマホでデジタル管理する人もいますが著者は「手書き」を推奨。なぜならミスをしない人の共通点がすぐに「記録、メモ」をすることだから。手帳の選び方からメモの書き方、やる気がでるTODOリストの書き方、付箋の使い方、“うっかりミス”の防ぎ方、やりたいことリストのおススメ、など実践的で明日から始められるノウハウが詰まっています。なにより女性目線なので現場のケアマネジャーのみなさんでも「なるほど、使える!」と思えるアイデア満載です。私も参考している一冊です!(^^)!

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒ケアマネジメントの学校(10)「グループホーム・小規模多機能の認知症ケアマネジメント〜認知症の人の「本人らしさ」と現場を支えるケアマネジメント〜」(定員15名限定)
│日 時│2月18日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage3002.shtml

⇒ケアマネジメントの学校(11)「地域包括ケアにおける実践的施設ケアマネジメント〜特養・老健・療養型・有料老人ホーム(住宅型含む)・サ高住〜」(定員15名限定)
│日 時│3月18日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage3003.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載:1月号〜働き方改革は「休み方改革」から〜」(第505話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/32313

◎中央法規:月刊ケアマネジャー2月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「仕事貢献と社会貢献」(Vol.11)


…◇ 編集後記 ◇………………………………………………………………………

 31日の深夜、札幌駅近くの自立支援関連施設「そしあるハイム」から出火し、11人の死亡が確認され、5人が救助、うち3人が病院に運ばれました。この施設は生活保護者の自立を支援することをうたい、主に高齢者が入居。毎日デイサービスの送迎車が止まっていたようです。8部屋に2人ずつが住んでいた計算になります。出火した深夜は管理人不在のため消火が遅れ大惨事に。これも「空き家転用型」の貧困ビジネスだったのでしょうか。実は札幌市ではサービス付き高齢者向け住宅だけでなく、このようなシェアハウス系が多いのが特徴です。サ高住ではないので部屋面積の規制もなく、行政の目もあいまいになりがちです。しかし夜間の対応が警備会社や管理人レベルなのはサ高住も同じ。今後も急増する要介護高齢者向け住居の「住まいの安全」をいかに確保するか、深刻な問題です。(>_<)<ムロ>

個人: http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所: http://www.facebook.com/caretown.jp


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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://caretown.com/ )





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