ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第494号
2017/10/12(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの懸念!:中年層の「ひきこもり」が増加中!
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「高次脳機能障害〜どのように対応するか〜」(橋本圭司著:PHP新書 定価740円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

↓↓↓ 東京スクールのお知らせ ↓↓↓
⇒ケアマネジメントの学校(6)ケアチームで盛り上げるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜 (定員15名限定 残席あり)
│日 時│10月15日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2910.shtml

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■ ムロさんの懸念!

===中年層の「ひきこもり」が増加中!===

 「もう50歳に近いのに仕事もせずに自宅でブラブラしている」
 「昼間もほとんど外出せずに、兄は母に全面的に頼っているらしい」
 このようなケースがここ数年多く聞かれます。そしてその嘆きは当の本人の親でなくきょうだい達からというのが問題。
 それは親は80歳を超えて、とてもひきこもりの子どもを面倒をみることができなくなり、SOSをそのきょうだい達にしはじめているからです。

 これらの人たちにはいくつかの特徴があります。1つは失職していること、2つ目には非婚であること。3つめは今の生活を変えようという意欲に欠けることといわれます。これらは一般的に「社会的ひきこもり」と呼ばれ、本来は精神障害の一つの「症状」を意味する精神医学の言葉ですが、病名ではありません。

 これらの症状は「スチューデント・アパシー(学生無気力症)」や「退却神経症」などの青少年の病理とは異なるといわれます。しかし統合失調症、回避性人格障害、境界性人格障害、思春期妄想症などの精神疾患に伴う症状でもあるとされ、さらに発達障害の人が含まれるといわれます。
 その実態は「もっと複雑ですそ野は広く、全体像がわかりにくい」とされています。これらの背景に、思春期の問題(無気力、不登校、対人恐怖、家庭内暴力、自殺企図、昼夜逆転、強迫行為、抑うつ気分等)と密接に関係しているのが特徴です。

 「問題は、社会的ひきこもりが長期化し、多様な病理の温床になりやすい」と斎藤環氏(精神科医)は著書「社会的ひきこもり」(PHP新書)で指摘します。
 氏の80例(男性66例、女性14例)の調査から、社会的ひきこもり事例の特徴は、圧倒的に男性が多く長男の比率が高いという点。きっかけは不登校、問題発生から相談するまでが長いということ。それに意外なことに「家庭は中流以上で離婚・単身赴任などの特殊事情はむしろ少ない」というものです。
 
 ここで考えたいのが介護虐待との関連性です。虐待の調査で男性介護者(夫、息子)が起こす割合は6割以上です。その背景には慣れない介護へのストレス、先行きへの絶望感などのほかに「家族の歪み」が影を落としている場合もあるとされています。家族社会学が専門の山田昌広教授(法政大)は、「未婚・失業・孤独」となった中年期男性の介護者のリスクに警鐘を鳴らします。

 中年層のひきこもり達がやがて直面する親の介護・・・世話をしてくれるはずの親を介護という「究極の世話」をする側になることを受容できる人がどれほどいるでしょうか。もしかするとかつてやっていた「家庭内暴力」が親への介護虐待として再発することになるかも。
 やがて、虐待原因の1つが、思春期から続いてきた「社会的ひきこもり」によると分析される時代がやがてくることになるかもしれません。

 ひきこもり対策は本人への社会復帰と生きがい対策だけでなく、10〜20数年後の虐待予防の意味を持っています。


■ 最新業界ニュース

1.外国人技能実習に「介護」正式追加(厚生労働省)

 法務省、厚生労働省は9月29日、外国人技能実習制度の対象に「介護」を追加する省令を公布、施行された。11月1日に施行となる介護固有の要件を上乗せする基準を同日付で告示、その解釈通知も発出した。実習生の日本語要件、実習実施先での指導体制などのほか、夜勤をさせる場合の利用者の安全確保も上乗せ基準に盛り込んだ。新しい制度であり、どう運用されるかは不透明な部分も多い。安かろう悪かろうの人材の受け入れにならないよう注視していく必要があるだろう。

2.エンディングノート、ケアマネ配布(厚労省検討会)

 厚生労働省は9月29日、2回目の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」を開催し、ヒアリングを行った。独自のエンディングノートを作成し、市民に説明・配布している宮崎市の取り組みなどが報告された。検討会では、同省が、人生の最終段階の医療を考えるための普及・啓発を行っている自治体を調べた調査結果を示した。パンフレットやリーフレットを「作成した」「現在作成中」の都道府県は12(25・5%)で4分の1程度、市区町村は138(7・9%)だった。作成した資料を配布する際に説明を行っている自治体は97自治体(74・6%)。希望する療養場所や最期を迎えたい場所など本人の意思を記入する欄を設けている自治体は91自治体(71・1%)だった。課題として、「配布する時期、タイミングの見極めが難しい」「人生の最終段階の医療について考えたくない・関心のない住民への意識啓発」などがあがった。

3.介護報酬にアウトカム評価を〜質の評価 先行自治体「加算」創設が現実的

 介護サービス質の評価先行自治体検討協議会は9月27日、介護報酬にアウトカム評価を導入するよう求める要望書を厚生労働省に提出した。やらない場合に基本報酬を減算という提案もあることに対し、要介護認定が介護の手間を評価する指標であることを踏まえ、「加算」による評価が現実的としている。
要介護認定率が高くなる75歳以上が増加し、給付が増大。介護保険制度の持続可能性が問題となる中でも、介護事業所の中には、「自立」に対する意識が希薄な事業所があると指摘。アウトカム評価を各自治体の事業にとどまらせるのではなく、報酬として導入することで、制度を状態の改善に向けたものにしていく必要があるとしている。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「地域のつながり方とその方法(取り組み方)がわからない。地域力をどのように取り入れていけばいいのでしょうか。ちなみにある地区は高齢化率が54%です」(H.Sさん 男性 ケアマネ歴13年 社会福祉士)

【ムロさんの助言】
 地域力を取り入れるためには「見つける目」を持つことです。それが曇っていてはまずは取り入れることもむずかしいでしょう。そこで介護予防で始まった「新しい総合事業」の取り組みは参考になります。新設された「地域住民主体の予防サービス(いわゆるB型)」とそれをつなぐ役割として新設された生活支援コーディネーター(地域支えあい推進員)の活動の方法です。とかく「うちのマチには、地域資源、地域のたまり場はない」という意識をもちがち。まずはそれを捨てること。地域には定例or随時の「ゆるやかな集い」はあります。公民館などの公的な場所から自宅、店舗、さらに道の駅や農作業するビニールハウスのなかでもさまざまにやられています。見つける方法は「芋づる式」。集まっている人のなかに出向き「他にこのような場所はありませんか?」と尋ねて芋づる式に探し出すという方法です。いわばこれはコミュニティソーシャルワークの1つの方法です。高齢化率が高くても70歳台はまだまだお元気。高齢化率の数字に惑わされずマチとムラに足を向けてみましょう!(⌒⌒)!

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■ ムロさんの本棚から

「高次脳機能障害〜どのように対応するか〜」(橋本圭司著:PHP新書 定価740円+税)

【ムロさんの書評】
 「突然怒り出しテーブルをひっくり返す」「朝起きても何もしない」「5歩も歩かないうちに、どこに行くの?と聞いてくる」これはうつ病?認知症?ただの老化現象?このような症状は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害や事故による脳外傷などでこのような症状、つまり高次脳機能障害が現れることがあります。著者の橋本医師は数多くの臨床経験から高次脳機能障害と精神病の違い、社会的アプローチの仕方にはじまり、家族や周囲の心構えとかかわり方をとてもわかりやすく解説します。「新しい関係づくりのコツ」「できないコトよりできるコトを見つける」などにはじまり、失語や記憶障害、半側空間無視、失行、脱抑制などの症状への対応や環境づくりなどもとても参考になります。家族へのアドバイスにも役立つ一冊です。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒ケアマネジメントの学校(6)ケアチームで盛り上げるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜(定員15名限定)
│日 時│10月15日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2910.shtml

⇒ケアマネジメントの学校(7) チームケア力で利用者(家族)・サービスのモニタリング〜ケアマネジメント評価とリスクマネジメント〜(定員15名限定)
│日 時│11月19日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2911.shtml

⇒ケアマネジメントの学校(8)「苦情」に強くなる!苦情は利用者(家族)からの「贈り物」〜ケアマネジメント・ケアサービスの質の向上と権利擁護に活かす〜(定員15名限定)
│日 時│12月10日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2912.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「会議力セミナーをやった!」(第503話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/30057

◎中央法規:月刊ケアマネジャー10月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「自分の介護をシミュレーションしよう」(Vol.7)


◇ 編集後記

なんと衆院選挙がはじまりました。まさかまさかの展開。今回は戦後なかったバタバタ劇の連続です。なにせ生まれたばかりの数人のベンチャー政党が衆参で200人以上を要する政党をのみ込むというウルトラCをやってのけたのですから。行くほうも行くほうで・・・介護保険などでがんばっていた某議員さんの影の薄いこと。そして立ち位置のあいまいなこと。こういう時に資質があらわになるのかもしれません・・・。おおげさなフレーズが行きかうこの選挙の結果がこれからの日本に大きく影響するのは間違いないでしょう。候補者間や政党間では「勝負」なのでしょうが、政治は勝負事ではありません。むしろ社会的に弱い立場が境遇におかれている人(市民、国民)を支えることに情熱をもって取り組むことが第一義ではないでしょうか。(>_<)<ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )





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