ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第493号
2017/09/28(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの問題提起!:よくよく考えてみると不思議な言葉だ、「自立支援」!   
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「母さん、ごめん〜50代独身男の介護奮闘記〜」(松浦晋也著:日経BP社 定価1300円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

↓↓↓ 東京スクールのお知らせ ↓↓↓
⇒第3期 ケアマネジメントの学校(6)ケアチームで盛り上げるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜(定員15名限定)
│日 時│10月15日(日)10:30〜17:00(残席7人)
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2910.shtml

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■ ムロさんの問題提起!

===よくよく考えてみると不思議な言葉だ、「自立支援」!===

 自立支援について今回も考えてみたいなと・・・。

 やたら業界誌紙で「自立支援介護」が目につきますが、さてさて国民は、とくに高齢者のみなさんはどのように受けとめているでしょう。
 一般的に「早く自立しろ!」というセリフは親のスネをかじっている若者にいうセリフ。これは経済的に自立するという意味ですね。「いちいちなんでも相談せず自分で考えなさい(決めなさい)」というのは精神的に自立すること。この場合は「自律」の文字が適切でしょう。

 なにごとにも頼らず、助けもなく自分一人の力でなんできる状態・・・それが自立だとするなら、要支援・要介護の方にとっては「自立支援」とはかなりひどい言葉?(関西弁「そら殺生や・・・!」)と受けとめる人もいるかもしれません。

 まず考えてみたいこと。「あなたの自立のために介護をしますよ」という文脈って一般的に意味不明ではないでしょうか?「自立」を「自分でできるようになる」と解釈すると「できるように介護してくれる、とはこれいかに?」が本当に奇妙です。
 ・・・だって「できないことが多いから、介護してもらいたいから介護保険を申請しているんだよ、おいらは」がご本人の気持ちなわけです。
 ほいでもって認定調査員がやってきて、いまの心身の状態やADLを聴き取り、腕の上げ下げなんかをやらされ、1時間ほどで帰っていく。後日、これまでの暮らしを続けていくために必要な介護の量(時間)を計算して要介護1や2の判定をいただくことになります。

 そのランクごとに支給限度基準額が紐づいていますから、その金額内の介護サービスを使っていいんだと理解するのは当然です。「やっぱり軽いより重いほうがいいよなぁ、使える金額が違うもんな」と言われたケアマネも「よかったですね」と返事をする始末。ここからなんか変ですよね。
 そして介護サービスを積極的に利用していると、ある日、「いつまで使っているんですか?いつ卒業するのですか?だいたい使い過ぎではないですか?」と言われることに。使っていい枠内のものを使っていたらお上から叱られた・・・このシーンを想像してみて下さい。

 あまりしつこく言われると「要するにオイラに使わせたくないんだな。だったら支給限度基準額なんてどうしてあるんだ!!!」と窓口で食ってかかられたら、行政担当者はどう反論できるでしょう。
 さらに怒りのボルテージは上がり・・・。
 「俺はデイサービスで少しでも歩きたいと思ってんだよ。でも転ぶと危ないから座っていてくれって言われんだよ。人の手も足りないらしいしさ。だからいつも認知症の人の話し相手だよ。これじゃ悪くなるに決まってんだろ!」

 これってケアプランのせい?個別サービス計画のせい?ケアの中味そのもの、ケアの質?それとも現場の職員のケアレベルのせい?・・・自立支援を理解していないご本人のせい?

 多くの利用者(家族)は「自立支援」の言葉は知っていても正しく理解している人は多くないということを肝に銘じるべきです。もちろん介護保険制度も・・・なぜなら、ケアマネジャーが初期面接、つまりインテークの時にほとんど説明できていないからです。
 「そうですね、10分くらいですかね」
 なんと3分で済ましている人もいました。そして困っていることを中心に聞き取りばかりをして介護サービスをあてがっていたら・・・さてどうなるでしょう。

 厚労省の文書に「共生社会」の文字が躍っています。それに続くのが「我が事・丸ごと」というフレーズ。これを「我が事、丸ごと、きれいごと」と揶揄する自治体関係者がいるとか・・・。「要介護4・5でも自立支援やれってなんなんですか?下がるとペナルティつくんですか?」・・・う〜ん、青キップ切られちゃうんでしょうかねぇ。混乱が続きます(>_<)


■ 最新業界ニュース

1.シングルマザーの助け合いが「共生」のネットワークに

 静岡市の中心部、駿府城址公園にほど近い住宅街にある小さなレストラン「もぐもぐキッチン」。エプロンをつけて、接客や調理に大忙しなのが、杉本彰子さん。県内では老舗の認定NPO法人活き生きネットワークの代表だ。地域の人の居場所にと今年2月、始めた。営業は月、火、木、金の週4日、午前10時から午後7時。日替わりの定食は500円。ハヤシライスやお子様プレートなら300円。超多忙な中、メニューも代表自らが毎日考え、今も陣頭指揮をとっている。  「ふらっと寄ってもらって、ここから新しい人間関係も生まれる。収支にとらわれないこういう事業が長年の夢だった。毎日がとても楽しい」  奥さんに先立だれ、満足に食事をとらずにやせ細っていた人がここに通うようになり、ふっくらと元気を取り戻していった例も。運営は、ボランティア。建物の2階の訪問看護ステーションの看護師さんもしばしばボランティアで応援してくれる。

2.新・共生型サービスの報酬〜障害制度は2段階に〜  (厚労省)

 昨年5月に成立した地域包括ケア強化法で、介護保険法、障害者総合支援法に位置付けられた「共生型サービス」。現在、それぞれで報酬の議論が進められている。対象は、訪問介護、通所、ショートの3サービスでケアマネはなし。  議論が先行しているのは、すでに共生化の取り組みが始まっている障害者分野だ。現在、介護保険の通所介護の基準を満たしていれば市町村が必要と判断した場合は、「基準該当サービス」として障害者支援法から報酬の支払いを受けることができる。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「悩みやプライベートなこと、意向を話したがらない方の会話の引き出し方がむずかしい」(M.Kさん 女性 ケアマネ歴13年)

【ムロさんの助言】
 どの方も自分の悩みを気軽に話してくれるわけではありません。それにプライベートな家庭のことは話したくないもの。どの家庭にも他人にはちょっと知られたくないことってありますからね。それにそれを知らないと支援ができないわけではありませんよね。意向を話されないのは、もう無理だ、と諦め感が強いのかもしれません。まずは「このようなお体になる前の一日の暮らし方を教えていただけますか?」と問いかけ、今の生活でやりづらいこと・困っていることを聴き取り、次に原因となっていることを取り上げ、「もし痛みがなくなれば〜」と仮説質問をしてみてはどうでしょう?思わぬ意向や願いが聞き取れるのではないでしょうか。ちょっとチャレンジしてください(^.^)

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■ ムロさんの本棚から

「母さん、ごめん〜50代独身男の介護奮闘記〜」(松浦晋也著:日経BP社 定価1300円+税)

【ムロさんの書評】
 この本は、家庭も作らず好き勝手に生きてきた独身男が50代で認知症の母を介護した奮闘記。ご本人は物事を感情よりも理屈で考える理系大学卒の科学ジャーナリスト。ご本人が述べるように「男子的な目線かつ理屈っぽく書かれた」本です。認知症かな?どうかな?と事実を受け入れられないところから始まったとする介護敗戦から第1章が始まります。「認知症?私はなんともない!」「これまずい!おいしいものを頂戴!」と容赦ない言葉を浴びせられ、さらに山のように届く通販の商品。介護のストレスで自分が壊れ始め、ついに手を挙げてしまう様子が冷静な目で丹念?に描かれます。いま、息子介護が支援困難化するケースが増えています。男性介護者がどのように行きづまっていくか、を理解するにはとても参考になる一冊です。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)



⇒ケアマネジメントの学校(6)ケアチームで盛り上げるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜(定員15名限定)
│日 時│10月15日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2910.shtml

⇒ケアマネジメントの学校(7) チームケア力で利用者(家族)・サービスのモニタリング〜ケアマネジメント評価とリスクマネジメント〜(定員15名限定)
│日 時│11月19日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2911.shtml


⇒ケアマネジメントの学校(8) 「苦情」に強くなる!苦情は利用者(家族)からの「贈り物」〜ケアマネジメントとケアサービスの質の向上と権利擁護に活かす〜(定員15名限定)
│日 時│12月10日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2912.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「会議力セミナーをやった!」(第503話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/30057

◎中央法規月刊ケアマネジャー10月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「自分の介護をシミュレーションしよう」(Vol.7)


◇ 編集後記

 私が連載する月刊ケアマネジャーの「ケアマネジャーの働き方改革」の第7回は「自分の介護をシミュレーションしよう」です。私の連載はワークとライフの両立支援が目的ではなく、ワークのノウハウをライフに活かし、ライフの経験をワークに活用しようというもの。現場のみなさんはいろんな利用者(家族)の支援をしているのですから、そのワークの経験を生かして、まずはご両親&夫・妻の介護者予備軍として今から取り組めることを示しました。そしてやがて私たちも要介護となる身です。だったらいまから少しずつ「介護される側」の準備を始めてみましょうと3つの提案(私らしさノートづくり、続けたい役割・生活習慣、セルフケアプランづくり)をしました。
 ぜひお読み下さい(^.^)<ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

■ 全てのお問い合わせはこちらまで→ info@caretown.com
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■ 東京スクール申し込み→ i@caretown.com

編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )





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