ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第484号
2017/05/25(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの期待「リハビリテーションへの注文〜めざすのは「本人らしさ」の尊重〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「言ってはいけない〜残酷すぎる真実〜」(橘玲著:新潮新書 780円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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│日 時│8月26日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ 作成中!

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■ ムロさんの期待!

===「リハビリテーションへの注文〜めざすのは「本人らしさ」の尊重〜」===

 リハビリテーションが「リハビリ」と短縮形で言われることが当たり前になり、一般の会話で交わされるようになりました。(ケアマネジャーもケアマネが一般的になりましたね)
 高齢の女性が散歩しているだけで「リハビリです」といい、ゲーセンに通っていることを「認知症のリハビリです」と言ったり。どうやら予防と混乱している人もいます。さらに一般市民の方でPT、OT、ST(言語聴覚士)なるリハビリ3専門職の区別がつく人、専門性がわかる人はかなり低いでしょう。

 たとえば、PTは身体の機能改善、OTは生活の機能改善、STはコミュニケーションの機能改善と対象別に整理するのも一つでしょう。これに実践的な事例やエピソードを紹介するならかなりわかりやすくなるでしょう。
 しかしここで問題なのです。リハビリは「治療なのか」ということ。介護報酬上は理学療法、作業療法、言語聴覚療法と明確に位置づけられ、報酬加算の対象ともなっています。治療だから病院・施設で時間を決めて行うべきであるとされ、一人当たり20分というのが定着しました。しかしそこには生活はありません。だから在宅に戻っても「できたことができない」ということが起こってしまっています。

 また「リハビリでがんばれば良くなる、どうにかなる」という錯覚も広がっているとも。本人も無理だとわかっていてもその錯覚のなかに浸っていたいから通所リハに熱心に通う男性がいるといいます。治療効果がないから行わない。一見理にかなってはいますが、果たしてそうなのか。むしろ本人の意欲(前向きな心)を支えているなら十分に意味あることなのかもしれません。

 身体、生活、コミュニケーションのリハビリはけっして楽なことばかりではありません。かなりの痛みがともなうこともあるでしょう。改善や機能の低下予防が「目的化」してしまうと「なんのために私はやっているんだ」と専門職のなかに、なにより本人のなかに「?」が生まれるでしょう。
 それでは意欲は生まれません。心は起き上がりません。

 だからこそ、抽象的に「その人らしさ」をイメージするのでなく、自宅に足を運び「本人らしい生活ぶり」に着目・尊重し、いまの本人をいかに「本人らしい暮らし」に近づけ、機能低下するプロセスであってもいかにそれを維持・改善するために伴走できるかがリハビリ専門職に求められる課題ではないでしょうか。
 私が提唱する「CADL(文化的日常生活動作)」は、その「なんのために?」に回答を与えてくれる一助になると期待しています。



■ 最新業界ニュース

1.総合事業で移動・外出支援〜免許返納で高まる需要〜(全国移動ネット) 

 NPO法人全国移動サービスネットワーク(中根裕理事長)は、昨年度、介護予防・日常生活支援総合事業を使って移動・外出支援を行っている自治体の実態調査を行った。実施している自治体は0.6%で少数だが、地域の実態に合わせて多様な形態で取り組んでいることが分かった。 多様な主体によるサービスの創出を目指す総合事業。厚労省のガイドラインでは、移動支援は、「訪問型サービスD」。訪問介護の「通院等乗降介助」にあたるサービスと、住民が自分たちでつくる通いの場への送迎の2種類をイメージ。人件費以外の経費の補助を想定している。

2.定期・随時訪問サービス拡充必要?〜サービスの効果見極め必要〜

 介護給付費分科会は12日、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護の4つの包括報酬のサービスがテーマだった。「拡充ありき」の厚労省の方針に対し疑問を呈する意見が相次いだほか、本当に在宅介護の限界点をあげているか、精査が必要と指摘された。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「同僚のケアマネが4名います。向上心がなく、どうやれば向上心を持たせられるか、困っています。なおチームワークは大変良く一人も退職はしていません」(E.W ケアマネ歴14年目 K県Y市)

【ムロさんの助言】
 う〜ん、仲がよくても向上心はない・・・それは悩ましいですね。言ってみれば「居心地がいい」事業所なんですね。おたがいがあまり努力しないように気づかっている(今風なら忖度している)わけですね。E.Wさんはみなさんにどうなってほしいのですか?いろんな研修会に出てほしいのか、もっと本を読んでほしいのか?それをE.Wさんの口から話すとなごやかムードが壊れる?とか。ならばいくつかの方法が・・・。よその主マネさんに外部講師になってもらいミニ講義をしてもらう、月刊ケアマネジャーの記事を持ち回りでミニ講師になってもらう、事業所内事例検討会を定例化する、あとはわずかながんばりも見つけたら過大?に褒める、という方法があります。いたずらに説教調で押すと逆効果。じっくりとムード作り(映画鑑賞でもOK)から始めましょう。

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■ ムロさんの本棚から

「言ってはいけない〜残酷すぎる真実〜」
(橘玲著:新潮新書 780円+税)

【ムロさんの書評】
 本書のカバーの言葉がすごい。「この社会にはきれいごとがあふれている。だがそれらは絵空事だ。往々にして、努力は遺伝に勝てない、知能や学歴、年収、犯罪癖も例外なし。美人とブスの美貌格差は約3600万円・・・」。身も蓋もないような言いぐさだが、進化論、遺伝学、脳科学の最新の知見から著者が明かす不都合なんてレベルでない「残酷すぎる真実」の数々。人種とIQのタブー、知能格差の現実、反社会的人間の生まれ方、直感の的中率など、ページをめくる手が止まらないほどに一気に読ませる本です。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

「新・ケアマネジメントの仕事術」(中央法規刊)を基本テキストに学ぶ
実践的な第3期ケアマネジメントの学校が5月から始まります!(^^)!
⇒ http://caretown.com/tokyo/dl/school_caremanage29.pdf

⇒シリーズ(2)「利用者(家族)との出会いとインテークの勘所〜新規ケースと引き継ぎケース〜」(定員15名限定)
│日 時│6月18日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2906.shtml

⇒シリーズ(3) 「本人らしさ」に着目したアセスメントの勘所〜ICFの視点で行う「ADL、IADL、CADL」分析と家族アセスメント〜(定員15名限定)
│日 時│7月16日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage2907.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「それって本音ですか?〜意図を汲み取る〜」(第498話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/28028

◎中央法規 月刊ケアマネジャー5月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「生活リズムと家事をマネジメントする」(Vol.2)


◇ 編集後記

 自立支援のフレーズに「自律」を入れるべき、重要だ、と老健局が言い出したと知りました。私の本では常々「自立(自律)」と説いてきました。そして自立を支援するのが介護と医療の役割、自律を支援するのが相談援助職たるケアマネジャーの役割、と説明。利用者(家族)が「選べる・決める」ための支援はどうするか。さまざまな情報や見立てや手立てを伝えること。そして一緒に考えて悩んで利用者(家族)が決めることをお手伝いすること、と話します。自律支援のことを医療では「意思決定支援」と呼ぶそうで今話題のキーワードだと・・・当たり前のことなのに、どうしてこうも大げさにしないと前へ進まないのか。それ自体も十分研究テーマになりますね。(^.^)<ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp


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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )




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