ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第482号
2017/04/20(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの気づき「語り合うことの可能性〜自分語りと心の共有〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 「介護家族を支える電話相談ハンドブック〜家族のこころの声を聴く60の相談事例〜」(角田とよ子著:中央法規出版 2,000円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

↓↓↓ 東京スクールのお知らせ ↓↓↓
第3期「ケアマネジメントの学校」始まります!(定員18人)
⇒シリーズ(1)「ケアマネジャーの仕事力〜チームマネジメントとセルフマネジメント〜」(定員18名限定)
│日 時│5月21日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/apply/

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■ ムロさんの気づき

===「語り合うことの可能性〜自分語りと心の共有〜」===

 語り合う・・・ただ語り合う。
 私たちはよく「自分で考える」という表現を使いますが、そこに他者性はないわけではありません。「自分はこう思う」と考えながら、いつしか「あの人は〇〇をどう思っているんだろう」と思いめぐらし始めるものだからです。

 「あの時、私は〇〇と思ったから〜〜という行動をとった」と整理ができたとします。でも「なぜ、そういう行動をとったのだろう。もし〜〜という条件だったら〇〇と考え△△ということをしたかも・・・」と考えるプロセスで、自己のなかにもう一人の「だったかもしれない自己」(他者)をイメージしていることになります。その相手が、受容的で自己肯定をしてくれる安心できる他者が目の前にいてくれたら・・・

 先日、年に一回の「縁の会」でおもしろい話を聞く機会がありました。
 印象に残った一人が北海道浦河べてるの向谷地生良さんの話。精神障がいのケアに「当事者研究」という視点を持ち込み、当事者の皆さんが自分の身に起こる幻聴や幻想を「研究の対象としてとらえる」という画期的なものです。

 「幻聴や幻想を研究という土俵に乗せるわけです。私たちは一緒に話を聞きます。彼らの話を聞いているとディズニー映画のように木が突然話し始めたりします。本人も語ることが怖くなくなって、やがて幻聴さんのキャラも増えて、結婚をしたというほほえましい話になったりします」
 このプロセスで統合失調症の本人は回復に向かっていくそうです。

 もう一人が精神科医の斎藤環さん。フィンランドで生まれた「オープンダイアローグ」を研究しているとのこと。薬に極力頼らずに統合失調症が治癒する家族療法として注目され、日本の精神医学に大きく影響を与えそうです。
 「ひたすら対話を繰り返します。病的体験の言語化=物語化は治療的な意義を持ちます。言語を絶した恐怖体験は言語化によって恐怖を減圧できます」
 つまり病的体験を共有化することで治療的な意義を持つ・・・とも。

 ここでもひたすら大切にされるのは「語り合い(対話)」です。語り合うことで、心や頭のなかが整理される。そして共感的で肯定的な言葉をもらえることで心が安定していく。それは「心の共有」といえるものかもしれません。

 「自分語り」ができる、安心できる他者がいること・・・
 みなさんは、いかがですか?


■ 最新業界ニュース

1.医師・看護師の働き方報告書 福祉との基礎教育共通化(厚労省)

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長=渋谷健司・東京大学大学院医学研究科教授)は6日、報告書をまとめた。医療ニーズの変化や女性医師の増加など変わる社会情勢を反映し、地域包括ケアの支え手側の在り方を議論していた。看護師、リハ職から福祉系職種まで広く見渡し、基礎教育の共通化を地域ごとの必要性を踏まえて構築できるようにすべきとした。人材対策の面でも、中央集権から分権化を推進する方針を打ち出した。

2.50年後人口8808万人 将来人口推計〜働き手4割減 人材確保課題〜

 国立社会保障・人口問題研究所(遠藤久夫所長)は10日、2017年の日本の将来推計人口を公表した。今から約50年後の人口は、現在より3割減少し、8808万人に。高齢者人口が4割を占める社会となる。足元の出生率の改善により、少子高齢化のスピードは5年前の推計より若干緩むが、生産年齢人口の減少に歯止めはかからない。今でも不足している介護人材の確保が、ますます困難になることも予想される。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「先月末、人事異動でケアマネジャーからデイサービスの管理者となりました。居宅の業務で学んだことを新しい立場で活かしたいとは思っていますが、正直まだ暗中模索です」
(デイサービス管理者 女性 M.T ケアマネ歴6年目 神奈川県Y市)

【ムロさんの助言】
 ケアマネジャーの方で居宅をず〜〜〜と続けている人は意外と少なく、5〜10年くらいで異動となるようです。管理者や本部勤務などが多いですかね。居宅を続けるために転職する人もいますね。現場にこだわるなら転職も辞さないという覚悟も立派ですね。10数年前にケアマネや在宅介護支援センターの経験のある人が施設長になっている例もボチボチと増えてきました。在宅ケアや地域とつながりのある人が施設ケアの管理者になる・・・これは地域包括ケア推進にとっても力です。M.Tさんは、デイの職員さんにICFやアセスメントの手法などをぜひとも教えてください。それにケアマネさんとの情報共有もとてもやりやすいと思います。ケアマネ経験があるからこそできることはたくさんあると思います。期待しています!(^^)!

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■ ムロさんの本棚から

「介護家族を支える電話相談ハンドブック〜家族のこころの声を聴く60の相談事例〜」
(角田とよ子著:中央法規出版 2,000円+税)

【ムロさんの書評】
 本書は(社福)浴風会が行っている「介護支え合い電話相談室」の室長である著者の連載をまとめたもの。私も2年前に取材しました。「介護家族のこころのサポーター」として全国から悩みの声が届くそうです。義父の介護1ヵ月目に50代のお嫁さんが「怒鳴り散らす義父の介護に気が滅入る」、「一緒に暮らす母が家に帰ると言い続ける」と50代の長女が・・・「おとなしくなるので義母を繰り返し叩いてしまう」と電話口に涙声で話す60代のお嫁さん。いずれもケアマネジャーがついていても相談相手にはなれていないようです。顔が見えないからこそ語れる本音の数々。傷んだこころに受話器を通して寄り添う相談員のノウハウは相談援助職のみなさんにも気づきの多い一冊です。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

「新・ケアマネジメントの仕事術」(中央法規刊)を基本テキストに学ぶ
実践的な第3期ケアマネジメントの学校が5月から始まります!(^^)!
⇒ http://caretown.com/tokyo/dl/school_caremanage29.pdf

⇒シリーズ(1)「ケアマネジャーの仕事力〜チームマネジメントとセルフマネジメント〜」(定員18名限定 残席10名)
│日 時│5月21日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/apply/

⇒シリーズ(2)「利用者(家族)との出会いとインテークの勘所〜新規ケースと引き継ぎケース〜」(定員18名限定)
│日 時│6月18日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/apply/


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「新連載はケアマネジャーの働き方改革!」(第495話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/26834

◎中央法規 月刊ケアマネジャー4月号高室流ケアマネジャーの働き方改革
└→「ワークとライフをバランスよく生きる」(Vol.1)


◇ 編集後記

 ケアプランを「AI(人工知能)」でつくるというプロジェクトが本格的に始まるようです。たしかに文例集があるので理屈上は可能かもしれないと発想すること自体が気がかりです。医療の場合、どの薬がどの病状に効果があるかを医師は大規模な症例データから診断するシステムが定着しています。ケアマネジメントの相手は暮らしです。リハビリ的なケアプランなら可能かもしれません。しかし個別性の高い「暮らし」が相手のケアマネジメントで、果たしてうまくいくか。それにサービス事業所のケアレベルも影響しますから・・・なんでも「AI」という発想でいいのでしょうか(>_<)<ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp


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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )




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