ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ元気いっぱい
第478号
2017/02/23(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの危機感:「希望格差社会〜その先にあるもの〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 私の本棚から:「驚きの介護民俗学」 
(六車由美著:医学書院 2000円+税)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

↓↓↓ 東京スクールのお知らせ ↓↓↓
シリーズ(10) 「グループホーム・小規模多機能の認知症ケアマネジメント
〜認知症の人の「本人らしさ」と現場を支えるケアマネジメント〜
(定員18名限定 残席5名)
│日 時│03月26日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2903.shtml

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■ ムロさんの危機感

===「希望格差社会〜その先にあるもの〜」===

 近頃、芸人さんが最高月収自慢をするのが増えてきました。あれって何なんですかね。「芸人でも〇〇〇万円稼げるんだぜ」と言うことでみんなに夢を語っているのか、貧乏していてもやがてこうなるよ、と努力や根性を自慢しているのか・・・。
 芸人世界の格差社会を見せつけられているようで、お笑い好きの私でもあまりいい印象は持ちませんが、みなさんはいかがですか?

 「格差社会」という言葉が流行いや定着した感があります。直近では近藤克則教授(公衆衛生学)が提唱する「健康格差社会」です。つまり年収に応じて健康に格差が生まれているという警鐘ですね。
 そこで本題・・・なんと「希望」にも格差が生まれている・・・ということを取り上げます。これは「パラサイト・シングル」という造語を作った山田昌弘教授が本のタイトルにしたもので、表紙には「負け組の絶望感が日本を引き裂く」とあります。かなり挑発的です。

 希望とはなんでしょう。希望とは「将来への前向きな見込み」です。しかし将来の見通しが立たない、先々暗いことしか浮かばないとなったらどうなるでしょう。口癖は今の境遇を「どうせ、しょせん、結局は・・・」とグチり、責任を転嫁しネガティブ・オーラを出しまくることになります。

 しかし事は重大です。
 なぜなら、かつての「希望」だったことがリスクとなってしまったからです。
 たとえば進学、たとえば就職、たとえば結婚、たとえばマイホーム・・・
 これらは高度経済成長期には確かに「希望」であり「憧れ」でした。
 しかし生活の不安定さと先行きの不透明さで「希望はリスク」となりました。
 ・進学・・・いじめられるかも?学費が払えるの?就職に有利なの?
 ・就職・・・職場の人間関係?順調に昇進?倒産は?クビにならないか?
 ・結婚・・・相手が見つかるか?費用は?離婚するかも?慰謝料払うの?
 ・マイホーム・・・ローンを払い続けられる?転勤したら?単身赴任か?
 さらに長生きです。これが一概に「いい事」といえないのは、介護費用や治療費の負担の重さだったりします。

 経済の不安定さは「二極化」を生みました。かつて日本は「総中流社会」といわれ、大きな格差もなくやってこれました。しかしバブル崩壊後の1990年代半ばから企業の倒産と合併が続き、いつしか「勝ち組・負け組」という表現が当たり前になってしまいました。
職場では年功序列が壊れ能力主義となりました。同じ年齢や学歴、企業であっても月給やボーナス、昇給や昇進に格差が生まれ、「立場(ステイタス)の格差」が定着し、これらの「質的格差」は個人の通常の努力では乗り越えられないレベルに達したと前出の山田教授はいいます。

 これらの格差は若者たちに「やる気を喪失」させ、それは「希望の喪失」につながることになります。未来に対する不信感や人生への絶望感から「親へのパラサイト」や「自宅でのひきこもり」に走る若者は「不良債権化」しているとも・・・やがて中年化・壮年化した彼らには頼る親はすでに他界し、いつしか「生活保護対象者?」として現れるなら、国の財政はいっきに破たんに向かうことでしょう。

 かつて小泉純一郎が「構造改革」を推し進めました。いま安倍首相は「一億総活躍社会」に向けた「働き方改革」を謳っています。一方で規制緩和による市場中心(万能)主義があり、もう片方で地域丸ごと共生社会という対立軸があり、新たな歪みをもたらすでしょう。そして自由化は成功者も生みますが失敗者も生み出します。失敗したくないから希望を抱かない。そこそこでいいからほどほどしか働かない社会人ばかりになったらどうなるでしょう。

 希望を喪失した若者に過大・過剰な夢や期待をポエムで叫ばせるのでなく、着実な一歩が歩める社会的支援や生き方指南、ソーシャルスキルこそ求められているのではないでしょうか。
芸人の「最高月収自慢」とテレビ番組「しくじり先生」がウケる背景をみなさんはどう読み解きますか?


■ 最新業界ニュース

1.介護予防をアジアに輸出 官民連携で協議会創設

 日本の医療・リハビリ・介護をアジアへ輸出する官民連携の協議会が9日、創設された。急速に高齢化するアジア地域で、日本の介護保険制度や地域包括ケアシステムなどの仕組みを提案・普及させる。同時に、現地の高齢者ケアを担う民間介護事業者の海外進出も支援するという。多職種が連携して介護予防や自立支援などに取り組む日本的な介護サービスの付加価値をわかりやすく訴求できる共通の評価軸を作る考えだ。

2.柔整療養費 適正化へ指導強化〜「紹介料」支払いは禁止〜

 医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会は15日、来年度に実施予定の適正化対策について議論を終えた。保険者、柔整審査会で不正請求の疑いの強いものは、証拠収集し、地方厚生局が優先的に処理する仕組みを導入する。また、住宅・施設に紹介料を支払って、患者に施術した場合は療養費の支払い対象外とする見直しを行うことなども盛り込んだ。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

「メンタルマネジメントがされていなくて、事業所のケアマネたちがうつ傾向になっています。どのようにやっていったらいいか悩みます」
(K.Mさん 主任ケアマネ歴10年)

【ムロさんの助言】
 相談援助職の「うつ傾向」の話はよく耳にします。対人援助職でも介護職や看護職は「ケアという行為」が身体的であり、要件が済めばその場を離れることができます。しかしケアマネジャーのような相談援助はその行為が心理的であり、利用者(家族)の心(内面)や人生の歩みに触れることになります。訪問時に不安や悩みに寄り添うだけでなく、度重なる電話でのやりとりや再調整、苦情対応など「正解がないかかわり」の連続に、みずからの力のなさを責め、やがてうつ的症状となる危険性をはらんでいます。だからこそ、仕事モードと自分モードを切り替えたり、ストレスケアにフィジカルトレーニングを取り入れたりなどがとても大切になります。症状があらわれるまえに心の予防を!

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■ ムロさんの本棚から

「驚きの介護民俗学」(六車由美著:医学書院 2000円+税)

【ムロさんの書評】
 この本を手に入れたのは5年前。サントリー学芸賞を受賞した気鋭の民俗学者が老人ホームで働きはじめてこの本を上梓したことに興味を抱きました。民俗調査ではナマの語りを聞くことがむずかしかったのに、ここでは自由に多くのことを聞き取れることに驚きます。「老人ホームは民俗学の宝庫」であり、「テーマなき聞き取り」に喜びを見出す日々。とくに認知症の人と出会い、幻覚と昔話の混在、一見つながりのないちりばめられた言葉を紡いでいくことの興奮などなど、民俗学者だからこその視点で介護現場の魅力を浮き彫りにします。
「驚きは利用者と対等に向き合うための始まりだ」と説きます。六車さんなりの回想法へのきびしい評価、無限定な共感や受容は暴力性を持つという指摘も納得させられます。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒シリーズ(10) 「グループホーム・小規模多機能の認知症ケアマネジメント
〜認知症の人の「本人らしさ」と現場を支えるケアマネジメント〜
(定員18名限定 残席5名)
│日 時│03月26日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2903.shtml

⇒人材採用:応募者に「ここで働きたい!」と思わせる採用面接の手法
〜複数面接と実技観察で早期離職防止と定着率アップ!〜
(定員15名限定)
│日 時│04月12日(水)10:30〜17:00
│日 時│04月28日(水)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→準備中

⇒施設経営:「改正社会福祉法で義務化!社会福祉法人の「地域貢献事業」40の実践例〜これならできる!企画・準備・運営のメソッド〜」
(定員18名限定)
│日 時│04月14日(金)13:15〜17:00
│日 時│04月26日(金)13:15〜17:00
│詳 細│WEBにて→準備中

⇒待望の「研修講師養成講座」(定員10人:残席5人)
│第1回│04月22日(土)13:15〜17:30&23日(日)10:00〜17:00
│第2回│06月25日(日)10:30〜17:00(フォローアップ)
〜初心者から経験者まで実践的な指導であなたを魅力ある講師に変身!〜


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載:利用者(家族)を動機づける」(第492話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/25612

◎中央法規 月刊ケアマネジャー2月号高室流モチベーションアップ講座
└→「利用者(家族)のモチベーションアップ」(Vol.11)


◇ 編集後記

 この2〜3月は新刊の執筆にかなりの時間を当てています。新人ケアマネジャー向けの実務研修や更新研修が大幅に刷新されたため、これらのニーズにこたえられる本が必要となり執筆をすることになりました。まさに膨大な資料(例:実務研修テキスト、更新研修テキスト)を読み込みながらの執筆は相当にハードです(^^;)。だからこそ、いいものを書きあげたいと一心不乱(ちょっと大げさですが)にパソコンに向かっています。だからこのメルマガはちょっと息抜きにちょうどいいような・・・ブログやフェイスブックもご覧になってみてください!(^^)! 友達リクエスト、お待ちしていますね(^.^) <ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp


■ 全てのお問い合わせはこちらまで→ info@caretown.com
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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )

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