ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ∞元気いっぱい
第470号
2016/11/10(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの怒り新党:「AI」にケアマネジメントは無理!
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「駆け込み寺」
[4] 私の本棚から:「脳が壊れた」(編著 早樫一男 中央法規出版)
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

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■ ムロさんの怒り新党

===「AI」にケアマネジメントは無理!===

 総務省から「ケアプランをAI(人工知能)にさせよう」という案が持ち上がっています。どこの誰が言い出したのかわかりませんが・・・相談援助の仕事をわかっていない、現場を何も知らない一部エリート?たちの発想にはあきれるばかり。ケアプランの利用者負担の論議と対(つい)になっているのが、さらに気がかりです。

 18年前、要介護認定をどのようにするかの議論の中で判定ソフトなるものが厚労省で作られました。当時、議論となったのが「その人が必要とする介護の量をいかに標準化するか」ということと「その段階ごとに支給限度額をいかに設定するか」でした。

 厚労省は特別養護老人ホームの入所者を対象に数千人のデータを集め1次判定シミュレーションを完成させました。ご存知のように要支援1〜要介護5までの7段階、それがそうです。

 運用が始まって市町村や認定調査会によって「多少のズレ」はあります(「〇〇市だと要介護3はもらえるよ」「〇〇町なら絶対に要介護4!」という現場の噂話?)が、調査員が書く「特記事項」や利用者(家族)からの再三の再審査の要望(クレーム?)などもいい加減で調整弁となり、なんだかんだといっても、ほぼうまく回っています。
※まさに日本人の和を尊ぶ精神、ここにありだと思います(^^;)。

 さてさて・・・確かに判定ソフトは利用者の心身の機能を現状評価する(判定する)には便利なシステムです。いわば血圧や血糖値、肝機能の数値などを総合して健康度を測るようなものかもしれません。しかし、人工知能で「診断や治療方針が立てられる」となれば現場の医師たちは激怒するでしょう。なぜなら診断と治療とはこれから行う「未来形」のものであり、さらに患者ごとに微妙に異なる心身機能や生活状況、さらに個別性に大きく影響するからです。

 ところでケアマネジメントはさらに複雑な工程を経て進められます。利用者の自立(自律)した暮らしを支えるには、一様ではない生活歴や生活状況、さらに生活信条や生活習慣、価値観までにも目配りしなければいけません。家族だって介護力と家事力のレベルはさまざまです。介護サービス事業所によってケアレベルも特徴も異なります。工業製品を作るロボットをあてがうのとはわけが違うのです。

 それを人工知能でできると発想するのがわかりません。たしかに、利用者のアセスメント情報を入力すれば見事にそれっぽいケアプランを完成させてくれるというソフトはあります。しかし精査するとほとんどが「ワンパターン」な表記でしかなく、ベテランのケアマネで使っている人を私は知りません。ケアプラン作成の手間をはぶくといううたい文句は、個別性を無視して「型にはめるケアプラン」を推奨しているとしか思えません。
 「サ高住のケアプランってほとんど一緒なんですよ」
 こう私に嘆く地域包括支援センターの職員さんは一人ではありません。

 ケアマネジメントの業務はケアプラン作成ではありません(ここ強調!)。利用者(家族)に向き合う「相談援助」なる支援手法とケアチームをマネジメントする「間接援助」という支援手法で構成された総合的なマネジメントスタイルです。このスタイルはビジネスモデルの視点から評価してもかなり高度なものといえます。

 介護報酬の削減や介護保険制度の適正化という「理由」だけで、ケアマネジメント1割有料化や人工知能の導入が正当化されるとしたら、介護保険制度の根幹である利用者本位、個別性の尊重(個人の尊厳)というものをないがしろにすることと同義になると私は考えます。

 声を上げない限り届かないことがある・・・現場から国政に発信するアクティブさこそ、今、業界団体や職能団体に求められているのではないでしょうか。


■ 最新業界ニュース

1. 新総合事業、適切な単価設定を(厚労省)

 厚生労働省は10月27日、介護予防・日常生活支援総合事業について適切な単価設定を行うよう自治体向けに事務連絡した。全ての自治体が総合事業へ移行するのは来年4月。自治体独自のサービスについて、事業者に対しても基準や報酬案の説明が始まっているが、「安過ぎる」として事業者との間で紛糾する例も出ているためだ。単価の設定方法を改めて確認するとともに、留意事項も示した。

2. サ高住で実践教育〜緩和ケアに特化、訪問看護増やすモデルに!(愛知県)

 名古屋大学発のベンチャー、高齢社会街づくり研究所(愛知県名古屋市、岩尾聡士代表)は1日、サービス付き高齢者向け住宅「まごころの杜」(熱田区幡野町)をオープンした。在宅医療・緩和ケアの教育拠点と位置付け、実践を積んだ看護師や介護士などの独立を促す。日常生活圏域に専門性の高い訪問看護ステーションを10カ所以上整備して、病院、自宅、施設など、どこにいても病院と同等のケアが受けられる地域「IWAOモデル」の構築を目指している。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「駆け込み寺!」

 「ケアプランで意向を聞いても、これで十分です、何もとくにありません、ありがたいですとご本人が言われるんです。でもそんなことないと思うんです」
(M.Tさん 女性 ケアマネ歴3年 特定居宅)

【ムロさんの助言】
 「とくにありません」しか利用者の方が答えてくれない、という悩みはよく聞きます。おそらくあなたの問いかけは「これからどうしたいですか?」ばかりを尋ねているのではないでしょうか。ご本人は「どうしたいもこうしたいも、この痛みをなんとかしないと無理」なのかもしれません。まずは「どのようなお困りごとがありますか」を十分傾聴し、「もしその腰の痛みが楽になったら何をされたいですか?」と問いかけてはどうでしょう。本人の願いや意向をさまたげている要因(例:痛み、つらさ、しびれ、だるさ、不安、あきらめ、恐怖など)を聞き取ることから始めてみましょう。(^.^)

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■ ムロさんの本棚から

「脳が壊れた〜「41歳で脳梗塞になりました」〜」(鈴木大介著 新潮新書 760円+税)

【ムロさんの書評】
 本書は家出少女や貧困層の若者、詐欺集団など社会から落ちこぼれた人々を主な取材対象とするルポライター。彼がある日突然脳梗塞となり、現役復帰するまでの1年間を自分を取材対象に書いた当事者ルポ。高次脳機能障害とはどういうことか、言葉が出てこないイライラ感や感情失禁、注意欠陥などが実にリアルに時にユーモア風に語られます。「深刻なのに笑える、感涙必至の闘病ドキュメント」(養老孟司氏)はみなさんにおススメの一冊です!!!

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒シリーズ(6) 「ケアチームで盛り上がるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜」
(定員18名限定 残席4名)
│日 時│11月20日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage 2811.shtml

⇒シリーズ(7) 「めざせ、モニタリングの達人!〜ケアプラン評価とリスクマネジメント〜」(定員18名限定:忘年会あり 残席4名)
│日 時│12月18日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage 2812.shtml

⇒シリーズ(8) 「苦情」は利用者(家族)からの「贈り物」〜ケアサービス・ケアマネジメントの質の向上と権利擁護に活かす〜(定員18名限定)
│日 時│01月29日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→未掲載

⇒シリーズ(9) 「ケアマネ事業所の人材育成とメンタルマネジメント〜採用・配置・育成・メンタルマネジメント〜(定員18名限定)
│日 時│02月19日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→未掲載


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「ケアマネジャー手帳の秘話A〜付録もスゴイんだぞ!〜」(第484話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/23694

◎中央法規 月刊ケアマネジャー11月号高室流モチベーションアップ講座
└→「怒りをパワーに変える」(Vol.8)


◇ 編集後記

 昨日、アメリカ大統領にトランプ氏が選ばれました。この間のメディアの報道から私も「いろいろあってもクリントンだろう」と思っていました。しかし結果は大逆転。トランプは政治経験はゼロ、あるのはビジネス感覚のみ。翻訳できないほどひどい暴言の数々に驚かされました。いまの黒人であるオバマ大統領が選ばれたとき、アメリカ民主主義の神髄を見た思いがして、まさに「チェンジ!」と思いました。と、ところが今回はこの有様・・・(>_<)。トランプショック、トランプリスク・・・仮にフィリピンのドゥテルテ大統領とトランプが会談したらどうなるでしょう。北朝鮮の金正恩と言い合いになったら・・・まさに一発触発の世界政治に「チェンジ」だとすると、これから始まる4年間は地獄の一丁目なのかもしれません。(>_<) <ムロ>

個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp


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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )

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