ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ∞元気いっぱい
第465号
2016/09/01(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの懸念「高齢化する刑務所〜高齢受刑者増の先にあるもの〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「3つのチャレンジ」
[4] 全国の研修会場の声
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

→東京スクールのお知らせ←
第2期「新ケアマネジメントの仕事術」スクール!!!
シリーズ(4) 「自立(自律)」を支えるチームプランニングと事業カンファレンス〜自助・互助・共助・公助と生活支援サービスのプランニング〜
(定員15名限定 残席1名)
│日 時│9月18日(日)10:30〜17:00

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■ ムロさんの懸念

===「高齢化する刑務所〜高齢受刑者増の先にあるもの〜」===

 政府は2017年の概算要求で全国32の刑務所に介護専門のスタッフを配置する方針を固めました。刑務所の数は70。その対象となるのが65歳以上の高齢受刑者が2割以上占める32施設が対象となりました。

 刑務所の高齢化は2年前のNHK「クローズアップ現代」でも取り上げられました。犯罪検挙数は減少しているのに高齢者だけが増えています。1989年のデータでは、65歳以上の新規受刑者高齢者は315人(1.28%)だったのに2015年には2313人(10.73%)に急増しています。平成6年と比較するとなんと約4倍、高齢受刑者は約5倍に増加しています。

 高齢者が犯すのは暴行や殺人もありますが、万引きや無銭飲食などの軽犯罪がほとんどです。しかし、問題は高齢受刑者の「再犯率」の高さです。2014年のデータによると2年以内に再び刑務所に戻るのは18.1%。ですが65歳以上に限ると24.8%に及ぶといいます。

 つまり高齢受刑者ほど「負の連鎖」から抜け出せないのです。そして深刻なのは、大半が高血圧や糖尿病などの治療を必要とする人たちであること。15年の調査では、認知症の疑いのある高齢受刑者は約1100人(約17%)と推計されています。
 刑務官たちが要介護の受刑者の食事の世話やおむつの交換、入浴介護などに従事しています。まさに「刑務所が介護施設化している」状況なのです。そして刑期が終わっても自分の足で出所さえできない要介護3〜5となった受刑者たちをどこが受け入れるか・・・

 では、なぜ、シャバから舞い戻ってしまうのか・・・
 実は社会復帰のため受刑中に行われる職業訓練では一部の高齢受刑者は対象となっていません。作業中の事故防止のために細かい安全基準があり、高齢者で生活習慣病の疾病を持つ人、認知症、知的障害、覚せい剤の後遺症のある受刑者を作業につけていないということです。

 前科者となり、まともな職能もなく、高齢者の雇用需要がない「世間」に放り出されても、路上生活者になるか、食べる・寝るが保証され医療や介護を受けられる刑務所に舞い戻るか・・・「世間の水」より「ムショの水」のほうが快適だ、と感じる高齢受刑者が食い扶持を得るために再び罪を犯す。
 まさに刑務所が最後の砦、セーフティネットとなっているわけです。・・・が「刑務所は会社の寮生活、更生保護施設はホテル暮らし、生活保護は親(国)からの仕送り生活」に例える再犯猛者(もさ)の受刑者もいるといいます。

 "懲役志願"の高齢犯罪者の急増・・・超高齢社会のもう一つの「歪み」が広がっています。


■ 最新業界ニュース

1.「影響小さい2割負担」 高額介護費対象の削減検討

 19日に開催された厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫学習院大学教授)。俎上に上ったのは自己負担割合の見直しなど「さらなる負担増」だ。厚労省は昨年導入した2割負担について影響はほとんどない、と見ており、高額介護サービス費の対象者を削減することを論点にあげた。負担増について利用者サイドからは根強く反対の声が上がっているが、全体では今後の介護費用の増加、保険料の上昇を抑えるためにはやむなしとする雰囲気が漂っている。難航は避けられそうにない。

2.総報酬制導入へ〜現役サラリーマン負担増〜 (厚労省:介護保険部会)

 19日の介護保険部会では、40〜64歳の現役世代が医療保険を通じて支払っている第2号保険料(介護納付金)の引き上げにつながる「総報酬割」の導入についても議論された。負担の公平性の観点からは異論はないが、経済成長が伸び悩む中で企業負担が急激に増えれば賃金アップの足を引っ張ることにもなりかねないなど強い反対意見も噴出した。

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 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「3つのチャレンジ」

ケアタウン総合研究所主催東京セミナー
「本人らしさ」に着目したアセスメントの勘所〜ADL、IADL、CADL分析と家族アセスメント〜」

1.利用者(家族)の話を「要約」し記録時間を短縮する
2.「性別」に合わせたかかわり方をする
3.本人のCADLに関心を向ける
(S.Nさん ケアマネジャー 女性)

【ムロさんのコメント】
 アセスメントやモニタリングの場面で利用者(家族)からさまざまな話を引き出します。その際に、ただ聞きっぱなしで、後で記憶とメモだけを頼りにまとめるのはかなりの苦労がともないます。ならば、利用者(家族)の話を項目ごとにその場で「まとめる(要約)」ことをしてはどうかと、提案しています。「いま○○さんが話されたことは〜〜〜ということですか?」と整理することで後の記録はとてもやりやすくなります。解釈が間違っていればその場で訂正してもらえるというメリットも。相談援助技術のロールプレイでも定番のトレーニング。事業所のミニ研修で取り組んでみてはいかがでしょう?


■ 全国の研修会場の「ひと声」

ケアタウン総合研究所主催東京セミナー
「本人らしさ」に着目したアセスメントの勘所〜ADL、IADL、CADL分析と家族アセスメント〜」

 「こだわりや嫌なことも把握することはやっていませんでした。本人らしさ、CADL、過去や経験なども踏み込んで把握することの大切さがわかりました。家族と同居の認知症の方には家族に聞けばよいですが、一人の方にはデイやショートの担当者から好きなことを聞き取っています。ADL・IADLなどを身体行為に細分化することはやってなかったのでこれからは行いたい」
(K.Sさん 女性 ケアマネ歴1年)

【ムロさんのコメント】
 本人(家族)の望みや願い、意向を聞き取ることは大切。でもつい忘れがちなのは「嫌なこと」。願いや望みの言葉は語りづらくても嫌なことや不満は言いやすいものです。それが参考になるのは、その裏腹にあるのが望みや願いだったりするからです。認知症の方のCADLや好みの把握は現場が家族を巻き込んで「発見していく」プロセスです。わかったつもりにならず、決めつけず。探し想像し発見することがケアチームの驚きと楽しみになるケアマネジメントができれば、それがまさに利用者本位となることでしょう。

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★ 東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒シリーズ(4) 「自立(自律)」を支えるチームプランニングと事業カンファレンス〜自助・互助・共助・公助と生活支援サービスのプランニング〜
(定員15名限定 残席1名)
│日 時│9月18日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage2809.shtml

⇒シリーズ(5) 「多職種連携とチームケアをめざすコーディネート〜介護・医療・生活支援と身内資源・近隣近所の調整と交渉〜」
(定員15名限定 残席6名)
│日 時│10月30日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage2810.shtml

⇒シリーズ(6) 「ケアチームで盛り上がるサービス担当者会議〜「新規・更新・引き継ぎ」の準備・進行の勘所〜」
(定員15名限定 残席8名)
│日 時│11月20日(日)10:30〜17:00 
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage 2811.shtml


★ 今週のおしらせ

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「小さな成功体験とささやかな達成感」(第475話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro

◎中央法規 月刊ケアマネジャー9月号 高室流モチベーションアップ講座
└→「小さな成功体験とささやかな達成感」(Vol.6)


◇ 編集後記

 いったん太平洋を南下した台風10号。四国沖でUターンして加速度的に勢力をアップしながら東京湾沖に。そしてL字型左斜めに折れ、関東上陸でなく東北・北海道に上陸しました。堤防の決壊がいかに多くの農地や民家に被害を与えるか、をまざまざと見せつけました。いつもなら川風が心地よい川っぺりのグループホームも、こと堤防の決壊となれば超危険な立地に建っていたことになります。9人の方の冥福を祈るばかりです。
 災害列島日本・・・地震、台風はいつやってくるかわかりません。しかし備えを怠ったために起こった火災や浸水・倒壊や原発事故は人災です。九州でもふたたび震度5の揺れがありました。いつ起こってもおかしくないのがいまの日本。まさに「今、そこにある危機」の警鐘を鳴らし続けることの大切さを痛感します。(>_<) <ムロ>


個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )

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