ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ∞元気いっぱい
第463号
2016/08/04(Thu)
http://caretown.com/


▼今週の目次▼
[1] ムロさんの嘆きと懸念「相模原大量惨殺事件〜犯人の笑いと時代の空気〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「3つのチャレンジ」
[4] 全国の研修会場の声
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

→東京スクールのお知らせ←
第2期「新ケアマネジメントの仕事術」スクール!!!
シリーズ(3) 「本人らしさ」に着目したアセスメントの勘所〜ICFの視点で行う「ADL、IADL、CADL」分析と家族アセスメント〜(定員15名限定 キャンセル待ち)
│日 時│8月28日(日)10:30〜17:00 (終了後 暑気払い会予定)

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■ ムロさんの嘆きと懸念

===「相模原大量惨殺事件〜犯人の笑いと時代の空気〜」===

7月26日の朝、テレビから流れる報道に声をなくしました。
神奈川県立で日本屈指の先進的知的障害者支援施設「津久井やまゆり園」で重複障害の入所者19人が惨殺され職員2人を含む26人が重軽傷を負いました。なんと、その容疑者・植松聖は元同園職員。半年前の「予告」どおり5本の凶刃で実行に移したのです。 凶行後、コンビニの駐車場でフェイスブックに不敵な笑みの自撮り写真をアップし、「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」と誇らしげに書き込み、英雄気取りで津久井警察署に出頭してきたといいます。

戦後最大の惨殺事件には奇妙な前兆がありました。
それは、遡ること今年2月14日に衆院議長公邸を訪れ「私は障害者総勢470名を抹殺することができます」などと宣言し、津久井やまゆり園を含む2施設を「標的」と名指しし、「職員の少ない夜勤に決行致します」「職員は結束バンドで身動き、外部との連絡をとれなくします」と手口を詳細に記述し、「抹殺した後は自首します」とまで書いた手紙を届けたのです。

そしてこの頃から同僚に「重度の障害者は死んだほうがいい」「安楽死させるべきだ」などと侮蔑する発言が増え始め、入居者に毒づき、重複障害者は生きている意味はない、安楽死したほうがいい、とまで主張。施設長から「それはナチス・ドイツの考え方」と指摘されても、考えを変えることを拒否。自ら退職を申し出ました。

その後、大麻精神病、妄想性障害で「措置入院」させられます。そこでは「ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた」と医師にうそぶく始末。症状が緩和?(「医者をだました」と本人の弁)したので2週間後に退院となります。
しかしすでに両親は他市に移り住み、施設から徒歩10分の自宅では、彼の怪物性はさらに肥大化。今年5月末頃からSNSの内容も過激化し、7月23日には、ドイツ南部ミュンヘンで起きたISによる銃乱射事件に関して「同時刻にドイツで銃乱射。玩具なら楽しいのに」などと書き込んでいたといいます。

この事件が奇異な印象を与えるのは、容疑者が「お母さんっ子、子ども好き、教師志望の明るいキャラでクラスの人気者」だということ。
どうして大学時代から人格が変わり始め、やがて差別視する障害者施設で働き、そして狂気が暴発したのでしょう。
原因を大麻や危険ドラッグ、精神障害に帰する論調がありますが、それはあくまできっかけであり、精神障害の「振り」をすることで罪を軽くし、再び社会復帰しようという「ズルい魂胆」の表れともとれます。

彼は「今こそ革命だ」と手紙で息巻き、「重複障害者は人の形をしている物であり人間ではない。自分の考えを認めない周囲はきれいごとを言っているので納得できない」と措置入院中だけでなく、今でも熱く語っているといいます。
彼の主張は社会保障日本財政破たん説に奇妙に連なる印象があります。高齢者や障がい者を支える社会保障を「国の税金の無駄だ」と位置づけ、その象徴を重複障害者と狙いを定め惨殺することで、ヘイトスピーチしかできない連中や新自由主義の政治家たちに自分流の救済策を見せつけたかったのではないでしょうか。

それはわざわざ殺人予告の手紙を時の安倍首相にまで届けることを文末で嘆願していること(承認欲求)からも読み取れます。
残念なことに各国の首脳からお悔やみメッセージが届くなか、フランスやドイツで起こった大量殺人事件にはお悔やみの言葉を述べながら、いまだ本事件にはお悔やみの言葉を出さない首相の姿勢をどう考えたらよいでしょう。

彼の「笑み」はだれに向かっているのでしょう。
時代の空気(格差社会)は生きづらさを抱える人たちを守るのではなく、いよいよ「排除(安楽死?)しても仕方ないのでは」という考えを主張する人間を生み出し凶行に走らせました。彼のなかでは立派な「聖戦(ジハード)」をネット上で共感する書き込みがあることに震撼します。

昨日の夜、飲み屋さんで72歳と36歳の男性のやりとりがありました。
72歳男性「俺はあと30年は生きたいよなぁ(笑)」
36歳男性「どんだけ生きるんですか?。どんだけ税金使うんですか!?」
このさりげないひと言が時代の空気なのか・・・負けてはいられません。



■ 最新業界ニュース

1.住民参加でフレイルチェック  柏市、介護予防で全市へ(柏市)

日本老年医学会が提唱し、国が政策にもその考えを取り入れている「フレイル(虚弱)予防」。国や東京大学と地域包括ケアシステム構築のプロジェクトを展開している千葉県柏市では、昨秋からフレイル状態をチェックするシートを介護予防事業に取り入れている。専門職がいなくてもできる事業として、チェックを支援する市民サポーターも養成し、住民参加で取り組む活動として地域に根付かせていきたい考えだ。

2.シニアカー 誤操作で事故多発(消費者安全調査委員会)

シニアカー(ハンドル形電動車いす)による重大事故原因の調査を続けてきた消費者安全調査委員会(畑村洋太郎委員長)は22日、事故防止策をまとめ、関係省庁に対策を求めた。内容は、シニアカーの設計見直しや使用者に対する認知機能検査の実施、地域の特徴に合わせた知識教育と技能訓練など。レンタル事業者による使用者への注意喚起、運転能力の確認、定期的なアフターサポートが事故抑制に効果的とする意見も示した。

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最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
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■ 今週の「3つのチャレンジ」

宮崎県小林市包括「業務の効率化と改善〜タイムマネジメント〜」

1.やらないことを決める
2.集中するスイッチを決める
3.ちょっとスピードを上げた作業
(M.Hさん 包括歴1年 女性 ケアマネジャー)

【ムロさんのコメント】
業務の効率化は「何をやるか」で考えるより、「何をやらないか」を基準に整理(断捨離)するとうまくいきます。物事に集中するときは「○○をすれば取りかかる」と決めておくことで習慣化できます。マラソンも単調に走るより、50mでもスピードアップすることで風を速さを体感でき、全体としてタイムを上げることができます。仕事も同様です。いつも30分かかる仕事を20分でやると決めて「しゃにむに」がんばってみるものいいでしょう!(^^)!。


■ 全国の研修会場の「ひと声」

東京スクール「新・ケアマネジメントの仕事術〜インテークと引き継ぎ〜」

「利用者が入院されたときに病院のMSWやNSから居宅ケアマネに連絡をいただけるということが滅多にありません。うるさがられてもこちらから電話を入れたり面会に行ったりするようにしています。医療側からもっと聞いてほしいと思っていましたが、あながち間違っていなかったと思えました」
(Y.Tさん 女性 ケアマネ歴7年)

【ムロさんのコメント】
インテークといえど、病院や地域包括からの引き継ぎケースがほとんどです。まっさらな状態で会うのでなく、引き継ぎ先から得られる情報はもらう、また引き継ぎ先のために情報を渡す(例:ケアプラン、個別サービス計画など)がルール化することが地域包括ケアシステムです。情報の共有だと双方に遠慮が生まれることもあるので、「情報の提供」を原則にすることでシステムを円滑に進めることができます。

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★東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒シリーズ(3) 「本人らしさ」に着目したアセスメントの勘所〜ICFの視点で行う「ADL、IADL、CADL」分析と家族アセスメント〜
(定員15名限定 キャンセル待ち)
│日 時│8月28日(日)10:30〜17:00 (終了後 暑気払い会予定)
│詳 細│WEBにて→ http://m.caretown.com/tokyo/caremanage2808.html

⇒シリーズ(4) 「自立(自律)」を支えるチームプランニングと事業カンファレンス〜自助・互助・共助・公助と生活支援サービスのプランニング〜
(定員15名限定)
│日 時│9月18日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://m.caretown.com/tokyo/caremanage2809.html


★今週のおしらせ

◎ユーキャン通信講座「高室式話し方トレーニング」!
3ヵ月であなたを話し方の達人に!心地いい声の出し方、抑揚のある話し方、ケアマネジメントプロセス別の話し方、事業所への伝達、苦情対応などのシーン別話し方も。文学座の女優の方に協力いただいた実践的なDVD付きです!
URL:http://www.u-can.co.jp/fukushi/shohin/06/

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「連載〜価値観スイッチを使いこなす」(第470話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro/21019

◎中央法規 月刊ケアマネジャー8月号 高室流モチベーションアップ講座
└→「価値観スイッチを使いこなす」(Vol.5)


◇編集後記

今回のコラムは相模原大量惨殺事件を取り上げました。今年の2月24日のメルマガでは川崎で起こった「老人ホーム転落殺人事件」を苦渋の気持ちで書きましたが、今回はそれ以上にやるせない気持ちです。無抵抗の障害者を惨殺した手口に怒りが湧き、彼のキャラクターやそこに至る経緯をつぶさに調べると、なぜこうなってしまったのか?という疑問符しか湧いてこないからです。このような事件を起こした犯人は逮捕されると正気に返り、顔を隠しうなだれるような姿で護送されるのが一般的です。ところがニヤニヤと笑ってカメラを見つめるその表情に底知れぬ「心の闇」と「社会の闇」を感じます。ある精神科医の方が「民主主義社会とは殺人を犯すかもしれない人間をも包む社会である」と述べていました。たしかに独裁社会なら裁判もそこそこに即刻死刑となるケースでしょう。仮に死刑判決?が下りるとしてもそこまでには十数年の月日と裁判コストがかかるやもしれません。いやいや精神障害者の触法行為と断定されれば数年後には・・・今回の事件で措置入院の在り方を見直す流れがあります。よもや「精神障害者」というだけで医療保護入院が短絡的に使われないかと・・・精神障害の人を地域で支える流れに大きなブレーキにならないことを願うばかりです。(>_<)

個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

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編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )

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