ケアタウン総合研究所
バックナンバー

ケアタウンメルマガ∞元気いっぱい
第457号
2016/05/12(Thu)
http://caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの発信 「地震対応シフトと地域包括ケアシステム〜すぐにやること・やれること〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「3つのチャレンジ」
[4] 全国の研修会場の声
[5] 東京スクールのご案内
[6] 今週のおしらせ
[7] 編集後記

→東京スクールのお知らせ←
5月22日(日)10:30〜17:00新ケアマネジメントの仕事術シリーズ(11)
シリーズ(11)「施設ケアマネジメント〜特養・老健・療養型・特定施設、居住系(サ高住)のケアマネジメント〜」(定員15名:残席7名)
6月より第2期ケアマネの学校シリーズが始まります!

〜〜〜〜〜〜〜


■ ムロさんの発信
「地震対応シフトと地域包括ケアシステム〜すぐにやること・やれること〜」

 5月6日〜7日に熊本県の被災地を回ってきました。2日間でしたが、熊本市、益城町、御船町、西原村、南阿蘇村を車で訪れ、6カ所の避難所にも行くことができました。
 メディアが伝える以上に現実はきびしいものがありました。20日間経過しても「家で眠るのが怖い」と車中泊を選ぶ人がいるように、強度のPTSDがいまも被災された方々を苦しめています。

 3.11東日本大震災では、津波により集落が根こそぎ消失するという惨事でした。しかし熊本大震災では、家の強度や耐震構造によって被災状況はさまざまなために、まずは「応急危険度判定」(危険、要注意、調査済み)を自治体が行いましたが、いまの段階でその数は4万9千件という数字で、まだまだ増えると予想されています。
深刻なのは罹災証明(例:全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊・全焼・半焼・床上浸水・床下浸水・流出などの区分)にかなり手間取っていることです。御船町では申し込みが約5000件あるのに発行は500件弱。益城町では罹災証明の受付を一時ストップする事態となっています。
 罹災証明は被災者生活再建支援金や災害復興住宅融資などの被災者支援制度の適用や義援金の配分、税金や保険料の減免、損害保険の請求などに必要となるのでとても重要です。

 しかし罹災証明がなかなか下りないと何が困るのか・・・
 被災した家を片づけることができない。住める状態にも戻せず、全壊・半壊の光景は住民のPTSDをさらに深刻にすることになりかねません。

 今回、6カ所の避難所を回って印象に残ったのは東日本大震災の実践が20日経過しているのに十分に生かされていないという実感です。たしかに段ボール製のベッドや仕切りなどがある避難所は一部ありましたが、ほとんど見当たりませんでした。
そして横になれる居住スペースと通路の区切りはあいまいで移動には苦労されているよう。掲示板も行政からのお知らせばかりで、ストレス解消法や体操の仕方、健康に関する情報の掲示は皆無でした。おおよその1日の流れ(起床、体操、朝食、昼食、夕食)などの掲示もありません。
「避難所を出ていく人もいて、ボランティアさんもいて、正直、誰が出入りしているか、さっぱりわからないのが現状です」
 そんなことは「受付」と「名前記入シート」があればいいのに、それが確保されていたのはYMCAが受け持っている避難所だけでした。

 これまでの地域包括ケアシステムの構築は「平事」を前提にしていました。しかし活断層が約6000近くあり、いつM6〜7の地震がいずこで起こってもおかしくない現実を突き付けられた今、地震という有事に対応するためには、初動3日以内、1週間、2週間、3週間などのステージ別に医療・介護・行政(自治体、消防署、警察署)・自衛隊・地域が有機的に動く「震災対応シミュレーション」の検討にすぐに入るべきと実感しました。

 その最初として避難所となる公的施設(例:体育館、アリーナ、学校校舎など)の収容人数住み分けシミュレーションの提案をしていこうと思います。
 危機はいつあるかではなく、今、そこで起ころうとしているのですから・・・。
 

■ 最新業界ニュース

1.保険者機能巡り議論 介護保険部会(厚労省)

 社会保障審議会介護保険部会は22日、「保険者機能の強化」を巡り意見交換した。給付抑制の圧力が強まる中、保険者主導で適正化を図りたい意向がうかがえる。今年度から新しいケアマネジャーの養成研修が始まるなど公正中立なケアマネジメントの確立に向け、順次見直しが行われているところだが、再び「ケアマネジメント」も俎上に載せられた。

2.送り出し機関の「保証金」禁止必要 外国人技能実習法案

 新しい外国人技能実習法を巡り、衆議院法務委員会では22日、参考人質疑が行われた。厚労省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」の根本嘉昭座長(神奈川県立保健福祉大学名誉教授)は、「介護人材は2025年には25万人不足するとされるが、国内人材での確保が基本。介護のイメージの低下を招かない、日本人と同じ賃金の支払い、介護サービスの質の担保の3つの視点から検討会では議論した。新制度と同時の職種追加は適当。可能な限り早期に実現を。人権侵害は構造問題、人員配置への算定は今後の検討課題」と話した。

--------------------------------------------------------------------
 最新ニュースは「シルバー新報」の協力により著作権の許可を得て掲載し
 ています。シルバー新報 ウェブサイト→ http://www.silver-news.com/
--------------------------------------------------------------------


■ 今週の「3つのチャレンジ」

雲母書房主催介護の未来セミナー「アクターズケアを活用したコミュニケーション」

1.やたら質問をしない
2.本人の世界で生きる
3.言葉づかいを見直す
(A.Nさん 女性 介護福祉士歴6年 有料老人ホーム勤務)

【ムロさんのコメント】
 アクターズケアとは「俳優の演技技法をケアに生かすコミュニケーション技法」で3年前から私が提唱しています。認知症の方とのやりとりを観察しているとやたら職員が質問をしている場面に出くわします。利用者さんのことを知りたいから質問するのは悪くはないのですが、相手にとっては「アカの他人」であることを証明していることになります。親しくもない人から根掘り葉掘りたずねられると誰しも警戒するのが当たり前。だからいかに上手に話を合わせることができるかがポイント。それをアクターズケアでチャレンジしてみます。


■ 全国の研修会場の「ひと声」

「25年前、高齢者福祉の世界へ飛び込んで初めて耳にしたマズローの8つの欲求(肉体の欲求1〜5、精神の欲求6〜8)。ところが老人ホームの現場では、肉体の欲求にこたえる身体介護中心だったことに気づき、精神のケアが見過ごされていました。アクターズケアの学びを通して精神の欲求に応えていきたい」
(T.Sさん 男性 社会福祉主事歴25年)

【ムロさんのコメント】
 マズローの欲求五段階説はいわゆるモチベーション理論です。すでにこの理論は古いとされています。その理由は人は生理的欲求が満たされた次に「安全の欲求⇒承認の欲求⇒尊敬の欲求⇒自己実現の欲求」に段階的に上がっていくと説いているからです。しかし自己実現のために周囲から反対され、多少の危険があっても突き進む人はいるからです。荒行をする修行僧などが典型ですね。まさに私が提唱するCADL(文化的日常生活動作)は本人らしさに着目した概念(自己実現概念)であり、身体介護だけでない心のケアに生かせる考え方です。それを形にするのがアクターズケアなのです。

〜〜〜〜〜〜〜


★東京スクールのご案内

≪場 所≫新宿御苑前駅 研修会場(ルネ新宿御苑タワー2階)
≪申込み≫ホームページより→ http://caretown.com/tokyo/
(メール、電話、Faxでも受付中!WEBから申込可能!)

⇒シリーズ(11)「施設ケアマネジメント〜特養・老健・療養型・特定施設、居住系(サ高住)のケアマネジメント〜」(定員15名:残席7名)
│日 時│5月22日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage2805.shtml

「新・ケアマネジメントの仕事術」(中央法規刊)を基本テキストに学ぶ実践的な第2期ケアマネの学校が6月から始まります!(^^)!
⇒シリーズ(1)「ケアマネジャーの仕事力〜チームマネジメントとセルフマネジメント〜」(定員15名限定)
│日 時│6月26日(日)10:30〜17:00
│詳 細│WEBにて→ http://caretown.com/tokyo/caremanage2806.shtml


★今週のおしらせ

◎ユーキャン通信講座「高室式話し方トレーニング」!
3ヵ月であなたを話し方の達人に!心地いい声の出し方、抑揚のある話し方、ケアマネジメントプロセス別の話し方、事業所への伝達、苦情対応などのシーン別話し方も。文学座の女優の方に協力いただいた実践的なDVD付きです!
URL:http://www.u-can.co.jp/fukushi/shohin/06/

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」
└→「葛藤:熊本地震〜被災地を歩く〜」(第460話)
URL:http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro

◎中央法規 月刊ケアマネジャー5月号 高室流モチベーションアップ講座
└→「内発的モチベーション」(Vol.2)


…◇ 編集後記 ◇………………………………………………………………………

 熊本大震災のことはケアさぽブログや公式フェイスブックに写真入りで発信しています。現地に行って思ったのは、復興のスタイルがそれぞれに異なるだろうな、という点です。熊本市のような都市型、益城町・御船町・西原村などの近郊型、南阿蘇村のような中山間地型に分けたとき、復興のステージが同じように進むわけがなく、それぞれの自治体力や住民力などの地域の力によって多様な復興スタイルが生まれると予測されます。その意味で、ここでの経験を全国の地域包括ケアシステムの教訓とすることができるのではないかと考えました。数年にわたって継続的に調査ができればと思っています。(ムロ)


Facebook
個人:http://www.facebook.com/shigeyuki.takamuro
ケアタウン総合研究所:http://www.facebook.com/caretown.jp

■ 全てのお問い合わせはこちらまで→ info@caretown.com
■ ご感想はこちらまで→ koe@caretown.com
■ 購読申込→ m@caretown.com
■ 配信停止→ mag@caretown.com
■ 東京スクール申し込み→ i@caretown.com

編集及び発行責任者:S.Takamuro
提供:ケアタウン総合研究所( http://m.caretown.com/ )

戻る
↑ページの一番上へ↑
(C)ケアタウン総合研究所