ケアタウン総合研究所
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ケアタウンメルマガ∞元気いっぱい
第414号
2014/10/02(Thu)
http://m.caretown.com/

▼今週の目次▼
[1] ムロさんの視点 「心を支えるケア〜東日本大震災の釜石から〜」
[2] 最新業界ニュース
[3] 今週の「3つのチャレンジ」
[4] 全国の研修会場の声
[5] 今週のおしらせ
[6] 編集後記

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■ ムロさんの視点
「心を支えるケア〜東日本大震災の釜石から〜」

 今週の月曜日、岩手県被災地地域包括ケア研修の講師をするために釜石市にいました。震災以降、数回、釜石にうかがっていますが、今回の依頼テーマは「支援困難ケース」でした。
 この1ヵ月、私なりにずいぶんと考えました。他の自治体からこのテーマで依頼されることはあるのですが、東日本大震災からいまだ3年しか経過していない現地でどのような内容にすればよいか・・・

 担当の釜石包括のTさんに現状をヒヤリングすると、遅々として進まない復興と仮設住宅での暮らしの変化と悩み、仮設住宅からようやく出て新居に移った人たちの新しい悩み、そして今も消えぬ心の傷などを聴きました。それらから、何かを行うケアもあるが、それさえも効果をなさない心の傷を持つ支援困難ケースの人たちにどのような支援の仕方があるのだろうか、と考えました。

 さまざまな文献などに触れ、「支援にはほどよい距離感の取り方」が必要だろうと・・・と考えました。これは自立を支援するスタンスとしては当たり前なのですが、被災地では今の心情を踏まえた「微妙なほどよさ」が必要だろうと。
 そして、もう1つ、「心を支えるケア」として「スピリチュアルケア」の視点と手法を知っておくことが必要だろうと考え、終了10分前に触れました。

 スピリチュアルケアについては、いまだ日本では定義づけは決まっていませんが、身体の痛みでなく「心の痛み」に向き合いサポートするケアという定義づけは一致しています。では、このスピリチュアルケアを実践するとはどういうことなのか・・・傾聴なのか?それでは足りないでしょう。なぜなら、話を聴いてもらうだけで心が落ち着く人ばかりではないからです。

 実は月刊文芸春秋8月号「死と看取りの常識を疑え〜医師にはできない心のケア〜」の特集記事と「現代霊性論」(内田樹&釈徹宗著 NHK新書)にヒントがありました。とりわけ東北は「土着の宗教心」が強い土地柄であり、被災者の心の問題に宗教者が真摯に向き合うことの意味を説きます。
 これらを読みながら、相談援助職が持つべき「心の支援」の具体的手法として、「念じる、悼む、祈る、願う、お祓い、厄除け」の6つの方法とその意味をお話しました。
 訪問時にお仏壇に手を合わせる、遺影の話を傾聴する、無病息災を祈るなどなど・・・これらは「心を支えるケア=スピリチュアルケア」の1つの手法として取り入れてはどうか、とお話しました。

 宗教者がしている「被災者へのこころケア」から学ぶことは多くあります。お経を唱えることで、死後生に思いをはせることで、厄除けをすることで一歩踏み出せる人がいることを忘れてはいけません。
 アンケートに共感の回答をする人が予想以上に多かったのが印象的でした。


■ 最新業界ニュース

1.確定診断までに1年超 家族の会に調査〜早期診断は依然課題〜

 認知症と疑う変化に気付いてから実際に認知症の確定診断を受けるまでに、平均1年3ヵ月かかっていることが、日本イーライリリー(兵庫県神戸市、パトリック・ジョンソン社長)の調査で分かった。患者や家族は、時間がかかったことによる「適切な治療がなされないこと」「長期間の不安」を負担として挙げた。厚労省は2012年度からの「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の中で早期診断・早期対応を目標に掲げているが、十分進んでいるとは言えない状況にある。

2.アリセプト レビー小体型でも承認〜医療保険の適用可能に〜

 エーザイ(東京都文京区)は19日、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」(一般名=ドネぺジル塩酸塩)について、新たに「レビー小体型認知症」にも効能・効果があるとする承認を厚生労働省から取得したと発表した。レビー小体型認知症に対する治療薬は世界初。承認とともに医療保険が適用される。。

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■ 今週の「3つのチャレンジ」
釜石・大槌包括研修「支援困難ケースへのアプローチと継続的かかわり」

1.うまくいっているケースの分析と検証
2.めげずにトライ&エラーを繰り返す
3.物事を当たり前に考えない
(A.Sさん サービス管理者 社会福祉士歴3年 女性)

【ムロさんのコメント】
 うまくいっているケースがなぜ困難化していないのか?その分析と評価のなかに困難ケース対応のヒントがあります。手立てはたくさん用意しましょう。1つの手立てだけでは「押しつけ」となります。困難ケースというレッテル貼りや思い込みが支援を「及び腰」にしていることはないでしょうか?大切な3つの気づきですね。


■ 全国の研修会場の声
釜石・大槌包括研修「支援困難ケースへのアプローチと継続的かかわり」

「今まで距離感を縮め過ぎて、自分も大変な状況になっていたと思います。少し離れて、ほどよい距離感を保つことで違った方法も見えてくるのかなと思いました。」(H.Nさん ケアマネ歴3年 介護福祉士歴10年 女性)

【ムロさんのコメント】
 初回訪問で家族のプライベートなことまで質問するあなたを不信に思う人はいます。不安でささいなことにも感情が揺れている人に、矢継ぎ早やの質問と一方的な寄り添い感覚は、相手にとって迷惑であり、さらなるストレスかも。複数回かけて「距離を縮める」ことで信頼感は育ちます。

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★今週のおしらせ

◎ユーキャン「高室式ケアプラン書き方トレーニング」
テキストとDVD学習で、3ヵ月であなたもケアプランの達人に!
URL: http://www.u-can.co.jp/fukushi/shohin/05/

◎中央法規『けあサポ』ブログ(研修写真も多数掲載!)
今週の「ケアマネさん、あっちこっちどっち」は「考えるヒントの本音:ありがとう」(第380話)
URL: http://www.caresapo.jp/senmon/blog-takamuro

◎中央法規 月刊ケアマネジャー10月号 高室流 考えるヒント
「ありがとう」(Vol.7)


◇ 編集後記 ◇

 御嶽山の噴火は、日本が地震国であり、活火山の上に暮らしているのが日本人であるということを思い知らされました。すでに「休火山」という表記はされなくなりました。なぜなら数百年〜数千年単位で噴火をするのが火山だからです。自然への「畏れ(おそれ)」と「疚しさ(やましさ)」を忘れたのが現代人である、と内田樹教授は警鐘を鳴らします。
※東京スクールでは、みなさんのご要望をお待ちしています。HPからお寄せください!(^^)!〈ムロ〉

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